【読んだ本】
『採用基準』伊賀泰代著
【著者背景】
マッキンゼーで採用・育成マネージャを務めた著者が、今必要とされている人材の資質について解説する。
【結論】
リーダーシップを身につければ自分の世界観が実現できる!
【要約】
マッキンゼーの採用基準としてもっとも重視されている一つが“リーダーシップ”であり、本書はそのリーダーシップとは何かについて書かれた一冊。
リーダーシップとは成果目標に対して、時には摩擦も恐れずに組織を率いていく能力のことである。またリーダーシップはトップだけでなくメンバーひとりひとりが持つべき能力でもある。
【感想】
●●リーダーシップはメンバー一人一人が持つべき能力●●
筆者はリーダーシップとはトップだけでなくメンバーひとりひとりが持つべき能力だと述べている。だからこそにアメリカでは入学や入社の際に全ての人に対してこの経験や資質を問うのだという。
何故メンバー皆が持つ必要があるのか。それはリーダーシップをもったメンバーであればリーダーの視点で物事を考えることが出来るからだ。成果を第一に優先する姿勢、時には摩擦も起こるが、それを必要だと思える感覚等が持てるからだ。
そういったリーダーシップを持たなければややもすると、組織や現状に対して不平や不満を感じるだけでそれを解決しようとしなかったりする。成果を出す為に責任をもつという自覚を皆が持つ組織程強いものはないということだ。
なるほどと感じた。確かに議論であれ、実際の活動であれ、自発的に考えて、責任を持ち、成果を優先出来るメンバー同士が集まればとても高い成果を出せると感じる。現にいまお手伝いしているNPOは経営陣が4人いる。そして4人ともとても強いリーダーシップをもっており、組織を引っ張っている。全員がリーダーとして自らの組織として自覚をもっているのだ。
組織はそういうメンバーで構成すべきだし、そういう意識を皆に持たせるべきだ。自らがメンバーになった時も、リーダーシップの意識を持ち続ければ、トップの人にとって心強い一員となるのだろうと感じた。
●●NPOはリーダー育成機関●●
また筆者はNPOはリーダー育成機関としてとても優れていると述べている。理由は下記2点。
1、 NPOには強力なリーダーがおり、またリーダーとの距離が近い。
::身近で学ぶことが出来る。
2、 NPOは組織が小さく、固まっていないことが多い。
::決められた役職だから、リーダーシップを発揮するというのでなく、
事前発生的にリーダーシップを発揮し、その結果として役職に就く。
なるほど。確かにその通りだと思う。また色んなところで問題が多いのでそれを発見・解決する機会に恵まれるのもリーダーシップの育成にはいいと思う。同時にこれはベンチャー企業にも当てはまると思う。
現在お世話になっているNPOでもすでに2人起業家を排出し、経営陣のお一人は個人事業主として独力のとても高い方だ。もちろん元々の資質も高かったのだろうが、上記のようにリーダーシップを鍛える機会にも恵まれたのではなかろうかと思う。
●●青年海外協力隊×リーダーシップ●●
青年海外協力隊にとってもこのリーダーシップはとても必要な資質だと思う。途上国にいって、言語も文化も違う環境に放りだされて、仕事をしないといけない。
場合によっては受け入れ側には必要と思われていないことだってある。そんな中で自分が存在するバリューを出して、成果を出さないといけない。そう考えてた時に一番必要なのはこのリーダーシップではないかと思う。
もちろん語学能力もとても大切だが、それだけでは意味を持たない。完璧でなくとも伝える情熱と志があれば言葉は伝わる。
単なる一メンバーとして派遣された組織で仕事をするのではなくて、責任と自覚をもって、摩擦を恐れずに成果を貪欲に求める。そういう姿勢で2年間過ごせればとても実りのある時間を過ごせるのではないかと思う。
とても読みやすい本なので協力隊で派遣される人は時間あれば是非読んでほしいと僭越ながら思う。
また協力隊に派遣されることが決まっていて尚且つ派遣まで数か月時間が空いているという人には上記の理由によりNPOでのインターンをお勧めする。現地活動で必要なリーダーシップが少しでも学べるはずだ。
かつろう
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以下備忘録として。(個人メモ的な意味外が強いので読む必要はあまりないです。)
【内容】
- アメリカのビジネススクールの目的
- 1、世界中から優れた人材を集めて排出する
- 2、アメリカのビジネスマンに世界を見せる
- 例え語学力に差があったとしてもそれを埋める専門性・スキルがあればグローバルなチームを率いていくことも出来る。(P27付近)
- マッキンゼーは下記のような人材を求めている
- 1、リーダーシップ
- 2、地頭のよさ、もしくは個別分野における知識や経験
- 3、英語力
- 日本には2はいても1と3を兼ね備えた人はなかなかいない。
- コンサルタントはゼロベースで考えることを叩きこまれる。自分のキャリア・進みたい道についてもゼロベースで考え、それまでとは違う選択肢を取るようになる。(P31付近)
- ケース面接で見られて言えるのはケースを上手く解けたかではなく、その人がどれほど考えることが好きか、どんな考え方をする人なのかである。思考プロセスが確認されている。
- 思考力=思考スキル+思考意欲+思考体力。
フレームワーク等の思考スキルは後からでも身に着けられるのでそれが重視されるわけではない。(P46付近)
- マッキンゼーではスパイク型人材も求められている。何か一つでも秀でたものがある人材。バランスは悪いが、そのスパイクが問題解決に大きな影響力を持つこともある。(P52付近)
- 単に分析・解発見の問題解決スキルだけが求められているのでなく、人を動かしそれを実行していく能力が求められている。(P68)
- チームメンバー全員にリーダーシップがあることが求められる。その方が成果が高い。リーダーシップは成果を最大化するために最適な行動をとれる資質であるので、全メンバーがリーダーとしての自覚を持てば自説に拘らず最適解を取れる。故にアメリカでは、入学、入社等全ての人間にリーダーシップの経験・資質を問う。
- 管理職には以下の三つが求められる。(P102付近)
- 管理能力(マネジメント能力。業務管理、進捗管理)
- リーダーシップ(チームの成果を上げる能力)
- プレーヤーとしての能力
- リーダーとは成果目標に対して組織を率いていく人。
その為には摩擦も起こる。否定もされる。また目下の意見が正しければそちらを採用する。そういった成果第一に考えた行動をとって組織を引っ張れる人。(P104付近)
- リーダーがなすべきこと
- 目標を掲げる
- 先頭を走る
- 決める
- 伝える
- リーダーの基本動作
- バリューを出す
- ポジション(明確な意見の立場)を取る
- 自分のリーダーは自分
- ホワイトボードの前に立つ(責任と権限を持つ)
- リーダーは出来るようになる前にやる。
その中でリーダーとしての能力を身に着けていく。(P154付近)
- グローバル人材でなくグローバルリーダーの育成が必要。
グローバル人材はグローバルで仕事が出来る平社員的な意味合いでリーダーシップを持っているかどうかは問うてないので。(P169付近)
- 日本ではむしろ個人の力がとわれて、欧米ではチームでの成果を出した経験が問われる。
入学や就職、転職において。(P178付近)
- アメリカではリーダーシップは学び鍛える資質だという認識がある。
だからこそに授業、研修コースなどが多い。
日本はどちらかというと天性の資質としてみる向きがある。(P204付近)
- マッキンゼーでは問題解決能力と同等かそれ以上にリーダーシップの能力が育成される。
- NPOはリーダー育成機関としてとても優れている。(P215)理由は下記2点。
- NPOには強力なリーダーがいること。
NPOは強力なリーダーシップなしには創設されない。
そのリーダーは成果目標(ミッション、解決した問題)が明確でその為ならいかなる障害も乗り越えるというリーダーシップを強く持っている。
また小さい組織のことが多いのでそのリーダーシップを身近に見ることができる。 - ?NPOにはがっちりとした組織構造が存在しないこと。
企業では役職に制限されるが、NPOではリーダーシップを発揮する人がそれが必要なポジションにつく。役職にリーダーシップが規定、制限されない。
- NPOには強力なリーダーがいること。
- リーダーシップを身につければ自分の人生がコントロールできるようになる。
自分の世界観が実現できる。(P223付近)
- 世界が広がる。色んな価値観の人とグローバルに出会えるようになる。
- 与えられた枠の中で生きるのではなく、自分自身の力で人生を設計できるようになる。(P239付近)
- マッキンゼーの採用基準は地頭や論理的思考能力だけでなく『将来のリーダーとなるポテンシャルを持った人』