首狩り族は首を狩り続けるべきか .33 

マレーシアで首狩り族の村として有名なビダユ族のロングハウスを訪れる。猫の街として有名なクチンから車で一時間半ほどの所にある。

ロングハウスというのは行ってみてわかったが読んで字の如く家が長いのだ。竹でつくられた足場がずっと続いており、その足場で家々がつながっている。まるで大きな長い長い一つの家のようなのだ。

かつてこの村には首を狩るという風習があったとのこと。実際村を訪れるとヘッドハウスというドクロが籠の中に入っている倉庫のような建物を見ることが出来る。

また村の中にはゲストハウスもあり宿泊をすることも出来る。ところどころでお土産物屋や食べ物屋も見受けられる。

竹細工の上を歩きながら家々の中を見たりしていたが、かなり裕福に生活をしているようだった。ほとんどの家でTVやコンポがあった。村の人も観光客慣れしており、挨拶をしてくれる。ぎすぎすした貧困の感覚は村内には皆無だった。

●観光収入の計算

(住人数)

この村は観光で一体どれくらいの収入を得ているのだろうか。色々と聞いてみた。

まず人口。登録上は3000人程いるらしい。ただクチンに出稼ぎに出ている人も多いらしいのでまるまる3000人はいないという。家の数は146棟だという。ということは一つの家に20人住んでいるということになるが、聞いてみると4?7くらいが大半なようだ。別の人に聞いたら1000人以上は住んでいるといっていた。家の数が正確でない可能性もあるが、一つの家に7人住んでいるとして実数として約1000人の住人がいるとする。

(月の入場料収入)

観光客は村に入るのに一人8リンギット(1リンギット=約30?35円)払う。ツアーなども行われており、一日の来場者数はだいたい100?200の間くらいだという。

8リンギット×150人×30日=36000リンギット

(月の宿泊料収入)

そして村のゲストハウスに宿泊をする場合は一泊295リンギットかかるとのこと。頻度としては月に3?4回宿泊客がくるとのこと。一回あたりの人数は少ないとカップルの2人多いとグループでくることもあるという。
295リンギット×4人×4回=4720リンギット

36000(入場料)+4720(宿泊料)=40720リンギット
簡略化の為40000リンギットとする。

(世帯当たりの収入)

これを40000リンギットを1000人で割ると
一人頭40リンギットが収入として入る。

一つの家あたり6人の家族がいるとする。
40リンギット×6=240リンギット(一世帯当たりの観光収入)。
1リンギット=33.5円で計算すると一人頭1340円、世帯当たり8040円となる。

2012年のマレーシアの地方部での平均世帯月収は3080リンギット。
240リンギットは月の収入の約13分の1にあたる。

(日本の感覚値に当てはめてみる)

日本の感覚で考えると下記のようになる。
日本の地方の平均給与を360万(ボーナス込)として考え、月収30万とする。
その13分の1、約2.3万円のベースインカムが得られる計算になる。
もちろん彼らは別の仕事もしているのでその収入にプラスして2.3万円のインカムがあるということになる。

リンギットベースであっても数か月貯蓄をすればテレビやコンポを購入できるだけの金額になる。この金額はとても大きなものだろうと思う。

また村から歩いて15分ほどの所に学校があった。警察所は車で30分後くらいのところだという。警察機能が村の中になくてもよいくらい治安がよいのかなと感じた。

おばあちゃん

●文化の保存

よくエコツーリズム等の文脈で文化や遺跡の保存という観点の議論がされることがある。例えば山奥の民族であれば彼らとの接触それ自体が彼らの文化の破壊につながる。単純に西欧化したり、先進諸国の価値観を押し付けるだけが彼らの幸せにつながるとは限らない。

そこまでいかないまでも例えば途上国の村落開発で、地元の文化・風習の尊重と西欧の技術・価値観の導入という部分ではせめぎ合うことも多いと思う。

上記のビダユ族の文化の保存と先進国化のバランスは個人的にもとても良いのではないかと思っている。もちろん文化が本当の意味で保存されているかという議論はあると思うし、文化の多様性が失われることが人類としての損失と考えることも出来るかもしれない。

しかしそこに暮らす人たちが余裕をもって豊かに生きてゆくということが最も大切なことではないか。

ロングハウスで見た村はとても豊かだった。人に余裕があった。生活が安定している印象を受けた。何よりも大切なのはその人たちの生活だと考える。逆に言えばもし表面的に豊かになっていても彼らがそれに対して安らぎを感じなかったりするのであればそれは強制するものでない。

人類としての文化の保存や多様性の価値といったものも大切だと思うが、やはり一番大切なのはその土地、その文化の中で生きる人たちが安心して安定的に生活できることだと思う。

かつろう

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インタビューその1 ケア・インターナショナルジャパン様?ベトナム・ハノイのHIV陽性者エンパワーメントプロジェクト? .32

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先日公益財団法人ケア・インターナショナルジャパンの事業部長の菊池康子様に訪問させて頂いた。青年海外協力隊で保健衛生製品のマーケティング・営業担当としてマラウィに派遣される前に保健衛生分野やエイズ分野の知識を勉強したいと思い色々とお話をお聞かせいただいた。

お忙しい中貴重なお時間を頂きまして本当にありがとうございました。

●ベトナム・ハノイの陽性者のエンパワーメントプロジェクト

ケア・インターナショナル・ジャパン様が2010年?11年にJICAの草の根技術協力事業として実施されたベトナムにおいてのエイズ陽性者のエンパワーメント事業についてお話を聞かせて頂いた。この事業はベトナムのハノイにおいてHIV陽性者の自助グループのキャパシティービルディング(能力向上)を行い、医療関係者や教育関係者に対してのアドボカシー活動を行うというものだ。
医療関係者でさえも正しくHIV・エイズを理解していない場合が多く、陽性者に対しての差別や人権侵害が起こっているからだ。

医療・教育関係者に研修を行ったり、ダイアログ(対話)形式で陽性者と話して貰ったりしたとのこと。活動の一環として4つの病院でフレンドリーコーナーというHIV陽性者が相談員となり、病院に来訪する患者の相談に乗るということも行ったそうだ。
このフレンドリーコーナーはケア様の活動が終わった後も保健局の下部組織として存続しているとのこと。プロジェクトで一時的に支援を行うだけでなく、その後も継続して活動が行われているというのはとても大切だ。
このように、継続的に活動が行われるようにプロジェクトを設計するということはケア様の中でとても重視されていると仰られていた。とても素晴らしいことだと感じた。

他にもOVC(Orphans and Vulnerable Children。エイズ患者から生まれた子供たち。母子感染をしている、していないに関わらずエイズ患者の子どもということでいわれなき差別を受けることが多い)の心理ケアを行っている青年海外協力隊員と連携を取った活動などもされたとのこと。

●自助グループについて

ハノイにはHIV・エイズの自助グループが30団体くらいあり、その中の4つと提携した。グループは100人を超える大きなものから7?8人のものまで様々な規模と提携。

構成としては、自助グループは女性がとても多い。男性は働いていてそういった活動を出来ないからかもしれないが。またその女性の中にはかつて性産業に従事していた人もいる。

また、自助グループに入っているがその事実をオープンにしていない人も多い。わざわざ家から少し離れた場所にある自助グループに参加するなどしている人もいる。その関係で例えば写真の使用が不可だったりすることもある。

●その他

国境地域はHIVの感染率が高い。お父さんが出稼ぎ先で遊んで感染して、お母さんにうつすと  いう ことが多い。
・国境地帯でなくとも出稼ぎが多い地域は感染率が高い可能性がある。
・ケア様のアプローチ手法の一つが当事者(自助グループ)が自主的に自分たちをエンパワ  
 ーすることで社会的な問題を発信・解決していくという方法。

●考察

今回のインタビューより、アフリカで保健衛生製品(特にエイズ予防のコンドームの場合)の販売を行う時に下記考察の必要があると感じた。

・販売者
だれが販売をするのか。この候補として現在ではHIV陽性者の自助グループはどうかと考えている。販売のコミッションを出すことも検討する。そうすることで彼らのエンパワーメント、問題の啓発にもつながる。また彼らはHIV・エイズの悲惨さ、大変さを身をもって知っている最も優秀な販売員となれる可能性がある。

・地域選別、感染経路の特定
感染率の高い地域を特定する。国境地域が高いのか、農村が高いのか。また複数の街で買春を行う可能性があるトラック運転手が感染媒体となりえている可能性が高いかどうか。またそれが高い理由も特定する。その上でそこに対して集中的な販売・啓発を行う。

・予防・治療・エンパワーメントのバリューチェーンの整理
予防・治療・エンパワーメントは切り離して考えることが難しい。それぞれが関連している。その関係性やキーとなる要素等をしっかりと整理し、バリューチェーンを描くことが必要。

今回突然のお願いにも関わらずお時間を頂きまして本当にありがとうございました。改めてケア・インターナショナル・ジャパン様にお礼を申し上げます。

かつろう

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欲しいものは見つかる?有益な情報収集の方法? .31

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荷物を詰める為の段ボールが欲しいなーと思って駅から自宅へ歩いていると既に立体的にテープで留められている段ボールが店先にいくつもおいてあるではないか。在庫整理かなにかしているようで、ご好意でそのまま段ボールを二つもらってきた。

とても幸運だと思った。

しかしこれは幸運というよりは単に段ボールを欲しいと意識していたから、視界に入った時気づいたに過ぎない。恐らく同じように置いてあったとしても、段ボールを欲しいと思っていなければ気にも留めないのだろう。

よく情報は恣意的に取捨選択されるということが言われる。自分の思考や好みに合わせて無意識的に情報取得に制約を課してしまったり、自分の考えを擁護するデータや論証ばかりを集めてしまったりするということだ。

この情報の恣意性は人間が元来持っている習性のようなものだと考えられるから、この恣意性を完璧に否定することは不可能だと思う。まず大切なのは、この恣意性を自分自身も持っていると認識することだと思う。そうすることで独善的になったりしないように気を付けられる。

恣意性をなくすことが出来ないのなら、逆にこの恣意性を利用すれば良いのではないか。つまり自分が一体何を欲しいのか、どういう人生にしたいのか、何が好きなのか、一体どういう社会になってほしいのかといったことを明確にして、意識をする。大切なのはそれを意識化、言語化することだと思う。漠然と思うだけでは情報の恣意フィルターは弱いように思われる。明確にしっかりと意識することでそういった自己実現に手助けになる情報が集まりやすくなるはずだ。

そしてもう一つ大切なのは自分がやりたいことを人に話すことだ。その目標に対する自分の意識を深められるということもあるが、大切なのは人に話すことでそれに関連する有益な情報が得られるということだ。その人が持っている知識・情報を教えてもらえ、またその人の知り合いなどで自分がやりたいことを支援してくれる人を紹介してもらえるかもしれない。

僕自身将来やりたいことや夢とかを話すことをつい恥ずかしがってしまうことが多い。しかしたとえ未熟で、可変性のあるものだったとしても人に話して相談することでかなり前進するはずだ。

情報の取捨選択の恣意性という無意識の部分と、人に話すという意識の部分の両方を上手くコントロールすることによって自分にとって有益な情報がどんどん集まるようになるのではないか。

かつろう

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突き抜ける感覚 .30

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『起』

今僕自身が最も渇望しているのは“突き抜ける感覚”だ。

『承』

英語を勉強していて、ブレークスルーを体験したことが2回ある。

一つは高校時代の速読だ。通っていた高校の近くに公文系列の英語塾があった。そこでは英語を早く読むということを教えていた。文章ごとに文字数表記があり、ストップウォッチで読むスピードを毎回測るというものだ。わからない文法や語句も出てくるだろうが、それらは気にせずに早く読むということを訓練するのだ。受験においては精読が求められる場合もあるが、往々にして文意をつかめれば正解できるという問題の方が多かったりするし配点も多い。ついつい精読をしがちな性格の自分にとってはこの訓練を行って英語を早いスピードで読むというある種の“てきとうさ”を身につけられたことは大きかったと思う。

もう一つのブレークスルーは昨年使ったDUO3.0という教材だ。その時はTOEICが700点中盤で停滞していた。約2か月大幅な改善が出来ずにいたのだ。もちろん勉強時間があまりとれなかったり、たまたま問題との相性が良くなかったといったことはあったとは思う。しかし自分の中でも進歩している感覚がなかったのだ。勉強法を考えたり、取り入れたりして自分で試すのが好きな僕は新たな方法を模索していた。そこで選んだのがこの教材。

単語ベースの教材なのだが、その単語が使われているある特定の文章を繰り返し聞くというものだ。すべての文章を聞くのに確か1時間くらいかかったと思う。そしてそれを毎日2回繰り返すのだ。出来る限り毎日最低でも1回は聞くようにした。
その結果TOEICも900点に達した。単に点数があがるだけでなくて英語能力(リーディングとリスニング能力)が上がったと実感出来たのだ。

『転』

ブレークスルーと聞くと10000時間というキーワードが思い出される。
なにか同じことに10000時間打ち込むとその分野でブレークスルーを得られるというのだ。
マイクロソフトのビルゲイツが最も早くその業界においてブレークスルーに達したのだとか。

よく日本では“3年は仕事を続けなさい”ということを聞く。
石の上にも3年というコトワザもある。

何故3年なのか。
そう、10000時間がキーなのだ。

例えば一年で稼働日が250日だとする。3年だと750日だ。
そして一日10時間働いたとすると7500時間になる。
12時間だと9000時間。これに休日出勤を足すとする。
そうすると3年?4年で10000時間に達する計算になる。

『結』

ブレークスルーにも様々なスケールがあると思う。
英語の勉強におけるブレークスルーは比較的短期間で得られるものだし、
仕事の専門性におけるブレークスルーは少々時間がかかる。

しかし人生においてのブレークスルー、
言い換えれば突き抜ける感覚・ポジションというのはどうすれば得られるのだろうか。

仕事を辞めていろいろやってはいるけれどこの突き抜けるという感覚が得られない。
突き抜けている人と会って、仕事をさせてもらうけれど、こちら側とあちら側の違いが明白に分かれていて、歯がゆさを感じる。

リスクをとっているかどうか。
全力で生きているかどうか。
自分がやりたいことをしているかどうか。
人生のミッションを持って、それに対して摩擦を恐れずまっすぐ生きているかどうか。
独立精神・自立心を持っているかどうか。
周りを巻き込むリーダーシップを持てているかどうか。

突き抜けたから、そういうものを持っているのか。
そういうものを持っているから突き抜けたのか。

しかし、そもそも僕が突き抜けていると思っている人は、自分を突き抜けているとは思っていない。であるならば突き抜けるとは内部的なものでなくて、外部的なものなのか。突き抜けたいとは、人からそう思われたい、いうなれば自己顕示欲の一つの表れなのか。

何れにせよここ数年の自らのテーマの一つは“突き抜ける感覚”だ。未だ道は見えないがこの感覚を追い求めて世界と戦いたい。

かつろう

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『アフリカBOPビジネス?市場の実態を見る?』佐藤寛編著、書評その4 Vol.29

僕は青年海外協力隊としてアフリカのマラウイに行く。派遣職種はマーケティングという新しく出来た職種で、現地では保健衛生製品のマーケティング・販売を行う。貧困層向けに蚊帳や経口補水液を売るのだ。それは範疇としてBOPビジネスと括ることも出来る。そういった背景があり目黒区の図書館で借りて読んだ一冊。

【読んだ本】

『アフリカBOPビジネス』?市場の実態を見る?佐藤寛編著

【概要】

前半部ではBOPビジネスとは何かという説明がされている。後半部分ではナイジェリア、エチオピア、ケニア、タンザニアの実態の調査と、具体的な商品の提案と導入可能性が掛かれている。
本書の一番大きな特徴は後半部分の調査がとても定性的に行われているという点だ。統計的なマクロなデータではなくてアンケートや聞き取り調査を中心とした現場に近いところで書かれた著作だ。

【提案されている商品一覧】

下記商品の想定価格、アクセス可能性、サンプルテストの結果等が記載されている。

ナイジェリア
蚊よけブレスレット、ハエ取り紙、ゴキブリ駆除剤、ふりかけ、魚肉ソーセージ、高野豆腐、防塵マスク、無水シャンプー・制汗デオドラント製品、インスタント食品、こんにゃくゼリー

エチオピア
重度栄養失調児治療食、粉ミルク、中度栄養不良児回復食、市販用栄養補助職、ビタミンAを強化した食用油、ビタミンAを強化した砂糖、ビタミン・ミネラル強化小麦

ケニア
ソーラーパネル、家庭用パラボラ型ソーラークッカー、養鶏ビジネス用ふ卵器、自転車式発電機

タンザニア

除草剤、粒状除草剤散布機、精米機、コメの選別機、環境にやさしい殺虫剤、微生物を用いた殺菌・殺虫剤、魚網、製氷機、水産加工用機材

【所感】

今後BOPビジネスや国際協力を行っていくうえでこのような実態に即した考え方はとても大切になってくるはずだ。単に統計的なデータの組み合わせで上手くいくような単純な市場ではないからだ。ではそのようなデータはどこから手に入れれば良いのだろうか。

その一つの答えが青年海外協力隊かもしれない。(http://blog.livedoor.jp/earthcolor0826/archives/1710838.html) 協力隊は実際現地の村やその土地に2年間住んで活動を行う。彼らが得ている生のデータほど貴重なものはないのかもしれない。

JICAとしても協力隊をもっと積極的に活用してそのようなデータを吸い上げでまとめるべきだろうし、企業側も協力隊経験者の積極登用等を行っていく必要がある。

個人的にはそういった地に足を付けたアフリカの情報を取得して企業やNGOに提供するような仕事を創ってみたいなと漠然と考えている。

単に自分の経験をアウトプットするだけでなく、狙いに即したデータの収集を仕組み化して行うのはとても大変なのだろうなと思う反面、こういった事業を出来れば本当に世界の為になるのではないかなと感じる。

かつろう

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からゆきさん Vol.28

皆さんは“からゆきさん”という言葉を聞いたことがあるだろうか。
漢字で書くと唐行さんとなり、19世紀後半に東アジア、東南アジアに渡って娼婦として働いた日本人女性のことらしい。唐は中国をさすのではなく外国を指している。

農村や漁村などの貧しい家庭の娘たちが連れて行かれたようだ。中には海外で奉公させるといって連れて行ったこともあるようで、場合によっては騙されるようなこともあったのかもしれない。

やがて国家の恥として批判されるようになり、1920年は廃娼令がだされ、海外の日本人娼館は廃止されたとのこと。その後1972年に『サンダカン八番娼館』が出版されるまでは戦前の恥部として一般に知られることは少なかったらしい。

学校で学ぶ歴史の中ではこのような負の側面は卑下され、見えなくなってしまうことが多い。国としてはありのままの歴史を伝えるべきだし、個人としてはフラットに選り好みをせずに自発的に勉学をし、直視すべきだ。

カンボジアやインドでこのような人身売買が現在でも存在している。例えばバングラディシュや隣接するインドのウェストベンガル州、ネパールなどからインドのムンバイに売られたりすることがある。もちろん同国内での売買もある。

またインドはそういった問題、つまり恥部に関して他国が干渉することに関して快く思わないこともあるようだ。ODAも積極的に受容する姿勢はなくなっている。

ややもすると現在途上国で発生している貧困や人身売買などの各種問題は彼ら彼女らのみが経験している問題と考えてしまいがちである。しかしそれは日本も経験してきた問題なのだ。戦後はエロア・ガリオア資金の提供を受けたし、ケア物資にも助けられた。政府からも民間NGOからも助けられたのだ。人身売買にしろ貧困にしろ、日本にとってつい100年以内の出来事なのだ。

やがて途上国においても今の日本のように、そういった問題の実感がなくなるような時代がくればよいなと思う。もちろん記録、記憶としては残して受け継いでいかないといけないが。

かつろう

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参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%86%E3%81%8D%E3%81%95%E3%82%93

写真の出典:生活情報センター「100年前の日本」より。

『マラウイを知るための45章』書評その3 Vol.27

僕は青年海外協力隊として9月からマラウイに2年間派遣予定だ。
その事前準備としてマラウイを知る為に下記の本を読了。

【読んだ本】

『マラウイを知るための45章【第2版】』栗田和明著

【概要】

マラウイについての情報を幅広く載せているとても貴重な本。2010年の改定で一部が追加されたが基本的には2000?2002年の情報を元にしている。

【所感】

●アフリカの国としてはとても安定している。
The warm heart of Africaと呼ばれアフリカの中ではとても安定した国として有名である。かつて奴隷とされた民族とそれを助長した民族や殺戮をした民族と殺戮をされた民族等、他のアフリカ諸国同様多様な民族を抱えている。しかし安定し続けているのはなぜか。一つには初代大統領のバンダによる統治が長く続いたこと、もう一つには資源がなかったことがあげられるのではないか。

独裁は必ずしも国家を疲弊させるものではないと思うし、資源がもとに国が腐敗、荒廃することもある。シエラレオネでのダイヤモンドによる紛争などはそのいい例だ。

●エイズとマラリアのアプローチの違い
エイズの存在や感染原因、その防止についての認知度合は高いようだ。98%がエイズ感染についてきたことがあり、その内3分の2は一つ以上の予防方法を知っている。それに対してマラリアは農村部では蚊が媒体ということを知っている人は4割以下である。

この二つの病気の違いは、それを解決する為のアプローチの違いを意味する。僕は青年海外協力隊としてコンドームや蚊帳の販売に携わる予定だ。

エイズに関しては知っているとの前提の上で、何故使わないかということを分析しないといけない。そもそも買える場所が近くにないのか、価格が合わないのかなどである。障壁を取り除くアプローチと使うモチベーションを上げるアプローチの双方バランスを取りながら行う必要がある。

マラリアに関しては販売と合わせてその啓蒙活動をまず行う必要がある。何がマラリアをもたらしているのか、どうすればそれが防げるのかといったことを理解してもらう。その上で販売戦略を練る必要がある。

●観光客数
マラウイの観光客数は2000年に5万人、2008年に18万人と増加傾向にある。絶対数として多いわけではないが8年間で3倍に増えている事実は前向きにとらえられる。他のアフリカの諸国と比べての安全性や穏やかさをしっかりとアピールできれば今後もこの増加傾向は維持できるのではないか。恐らくヨーロッパや他のアフリカ諸国からの観光客が多いのだろうと思われる。

●女性の収益向上
女性が家でどぶろくを醸造したり、チブクの販売手数料をえたりするのは彼女たちの収益向上・自立化につながっているはずだ。やはり農村や家庭で仕事を行えるということは良い影響が多いと思う。他にもこのような事例をまとめて他国へのスケールアウト出来る事業等を考えたい。

●BOPビジネス
小分けにするBOPビジネスというのは聞いたことがある。味の素に代表される調味料やシャンプー、洗剤等である。これは小分けにして安価にすることで貧困層でも購入することが出来るようにする仕組みだ。マラウイではそれがお酒でも小分けビニールにして行われているとのこと。生活必需品だけではなくてそういった嗜好品の分野でも応用できる手法なのだなと感じた。

●貴重な情報
この本はマラウイの情報がしっかり体系立てて幅広く記載されてある情報ソースとしてとても貴重な存在だ。2000?2002年の情報がベースとなっているので少々古いともいえる。しかし逆にその頃と比べて変化している点、していない点を感じることも出来るはずだ。

かつろう

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以下内容箇条書き。参考までに。

【マラウイの概要】
・マラウイの大きさは北海道と九州を合わせたより少し小さいくらい
・マラウイ湖は九州の3分の2の大きさ
・マラウイ湖は国土の20%ほど。
・人口密度は100人/キロ平方メートル程。アフリカ諸国と比較するとかなり高い。
・マラウイ湖の領有をめぐってはタンザニアと論争がある。しかし現在は互いに表面化しないようにしている状態にある。
・キリスト教70%(プロテスタントが多い)、 イスラム教20%。
・民族集団は40ほど。しかし区切りが難しく、変化もする。
・公用語は英語とチェワ語。
・チェワ語とニャンジャ語はほぼ同じ。
・ニャンジャ語はモザンビーク、ザンビアで話されている。
・マラウィとはチェワ語で光、炎を意味する。
・他のアフリカの国よりは少ないが、欧米人、アジア人もいる。商店などはアジア人が経営していることが多い。
・役所の窓口の役人が賄賂を請求することはない。
・レジデント料金という在住者に対してのホテル等の割引制度がある。
・19世紀、アラブ人やヤオ人による奴隷貿易の被害にあった。またンゴニ人による殺戮もあった。
・ショップライトというスーパーマーケットが2001年に進出。2000年にはタンザニアに進出しており、モザンビークにもある。(P49)

【歴史・政治】
・19世紀のスコットランドの探検家、リヴィングストンが有名。功績には賛否ある。
・独立運動で初めてのなくなったチレンブウェ師はお札になっている。
・1964年に独立、初代大統領はバンダ。ロンドンで開業医だった。
・かつてバンダが数十万人を投獄した監獄が現在は博物館となっている。
・コタコタにリヴィングストンが立ち寄った樹の近くにバンダが初めて政治集会を開いた樹がある。
・1968-1993年には女性は膝丈より長いスカートの着用、男性は偏り長い髪が禁止というドレスコードが適用されていた。
・2000年のマラウイの国家予算は350億K(525億円)。(P66)
・2000年の受ODAの総額は170億K(255億円)、日本のODAは40億K(60億円)+技術協力20億K(30億円)。
・バンダ政権は西欧との関係が強かった(西欧としても冷戦下、西側の一員としてマラウィを重視していた。タンザニア・モザンビークは東よりだったりしたので)。またアパルトヘイトを推進する南アフリカとの外交も持っていた。その為、国内の圧政が見過ごされていた部分もある。
・しかし時代の流れには逆らえず1994年に複数政党制の選挙が行われ、バンダは敗れ、2代目としてバキリ・ムルジが大統領になった。ちなみにムルジはマラウイでの少数派であるイスラム教徒。なお97年にバンダは死去。
・2000年、Sクラスのベンツを39台、約3億円で買い、各省の大臣、官僚に配るということを行い、イギリスからバッシングを受けた。
・ムルジ政権94?2004年(2期)、3代目ムタリカ政権2004年?2012年(急逝)。マラウイは大統領は2選。
・2012年からムタリカに変わりジョイス・バンダが初の女性大統領となる。

【産業】
・外貨収入の半分以上はたばこの輸出。栽培農家数は7万世帯。
・たばこの収穫は人手がいる。下の方の葉から熟し、それを判断し刈り取る為、一律に機械で狩るのが難しいためだ。そこで問題になるのが、子供の長時間低賃金労働だ。しかし一方で子供を使わず大人だけでは賃金があがり、国際競争力を失うとの主張もある。
・茶の大規模農場は24の企業が行っており、個人経営は5000世帯。
・紅茶の生産のほとんどが輸出用。また高級品はすべて輸出用で国内で手に入るのは大して質がいいものではない。
・燃料としての森林伐採が進んでいる。
・マラウイ湖南のチルワ湖も漁獲高が高い。
・チャンボ、カンブジ、マテンバ、カンパンゴ(ナマズ類)という魚が食される
・マラウィ湖はダイビングスポットとしても人気。釣りもできる。
・リロングウェが首都になったのは1975年、議会が移ったのは94年。それまでの首都はゾンバ。
・ブランタイヤが最大の都市のひとつで、そのリンベ地区は工業地帯。
・スコットランド人実業家ムーア兄弟の弟のあだ名がマンダラで、マンダラ農場等その他かれの名を関した商号が多い。運送業などグループを築いている。
・ゴムは加工する企業がないので、ジンバブエや南アで加工される為に輸出されている。

【都市】
・2000年に台湾の援助で開業したムズズ中央病院のHIV検査が能力が高い。
・ムズズは市街地に空港があり、建物は3階までと規定されている。実際4階のものもあるようだが、4階部分は使われていなかったりする。
・主要都市は北部のムズズ、中部のリロングウェ(首都)、南部のブランタイヤ、ゾンバ(旧都)
・北部の都市カロンガの西方には有名な呪術師がいる。
・呪術師によるエイズ治療もおこなわれている。(P134)
・南アフリカにいったマラウィの呪術師は新聞広告を出したりした。
・コタコタ:リヴィングストンが奴隷廃止を求めて奴隷商人ジュンベと会談した記念の樹が残っている

【賃金】
・マラウイの最低賃金は都市部とそうでない部分で二つ設定されている。
・2002年の給与水準。セカンダリー卒20?30代ホワイトカラー2000?5000K、40代で各セクションの中心8000K、セカンダリーの先生は3000K、ハウスキーパー、コック、ガードマンなどは500?2000K。(月給)
・高級官僚月給5?7万K+手当10万K+退職金在職期間の給与と手当の25%。手当には水道、電気、電話、コック、庭師、警備員、家賃、ガソリン代、教育費等が含まれ、給与より多い場合がある。
・国会議員は月給3万K+手当。さらに会期中は6000K/日の宿泊費が出る。2002年に5万K、2002年7月からは10万Kになったとのこと。
・大学教授は数万Kで他の職業よりは高いが、南アフリカ、ボツワナなどに比べると低く、人材は海外に流出しているよう。
・自営での稼ぎ。食堂で700K、醸造酒製造販売850K、魚の仲買1000K、マンゴーの仲買600K、ミニバスの客引き300K。いずれも日の利益。
・同様の時期の物価。電気がきてない家で2?3部屋で月200?300K、簡易な食堂での食事一回30K以下。

【生活】
・マラウイの電機は230Vである。また突入電圧400Vまで行くこともあるらしい。
・マラウイで給電されている世帯は2007年で8%。都市部で52%、それ以外2%。南部アフリカ経済開発共同体SADCでの平均が20%でマラウイが最低。
・マラウイの大学はマラウイ大学とムズズ大学。
・公務員の給与が払えずレイオフが実施されることもある。また承認された予算額よりも少ない金額が実際には渡される。
・インターネットカフェもある。リロングウェ、ブランタイヤ、ムズズには10軒ほどある。
・警察官による車に対する路上検問は多い。
・盗難にあった車がモザンビークやザンビアで発見されることも多い。国際的な捜査態勢、インターポールとの連携が上手くいっているのでは。
・マラウイの自動車保険と一時輸入許可があれば他国の免許でも入国して3か月以内であれば車を運転できる。
・食用のネズミが串にさして売られている。
・デンマークのカルズバーグが工場製のビールを醸造している。
・ビニール袋に小分けにした蒸留酒も売っている。ボトルよりも価格が安いので購入しやすい。
・チブクというどぶろくがある。チブクバーも各地にある。
・個人でのお酒の醸造は合法。しかしカチャーソーと呼ばれる蒸留酒づくりは違法。しかしこれは存在している。
・タンザニアにはでは村の女性が醸造酒を作って現金収入を得ている。
・マラウイでも一部独自に醸造酒を作ることもある。チブクを売って手数料を稼ぐこともある。
・女性の服装としてミニスカートだけでなく、ズボンも挑発的とみられる向きがある。

【保健衛生】
・1985年に初めて、マラウイにおけるエイズ発症が確認される。
・HIV感染予防の掲示板には大統領が登場したりしている。
・98%がエイズ感染について聞いたことがあり、その3分の2が一つは予防方法を知っていた。
・対してマラリアの感染が蚊を媒体にしていることは農村部では4割以下の人しかしらない。(National statistical office 2000)

【ローカル・オーソリティ】
・マラウイは3州27郡に分かれている。
・各郡は伝統的なローカルオーソリティを持っている。シニアチーフを頂点に、その下にチーフ、GVH(Group Village Headman )、村長が階層を為している。
・彼らは日常的な争いの調停、作物の増産、道路・学校等のインフラの整備、に携わる。また土地の裁量権も持っている。
・北部ンコンデ人の首長ムワカスングーラさんについては、ジャーナリストのMwalilino氏のまとめたものが詳しい。

【他国との関わり】
・住民の周辺国との流動性は高い。例えばポルトガル語圏のモザンビークから英語を学びに来るものもいる。
・南アフリカから進出してきている企業も多い。
・タンザニアでハウスキーピングの仕事をするマラウイ人も多い。
・不法滞在で南アフリカからマラウイに送還される人は月50?100名ほど。逆は10名。
・マラウイは鉱山資源がなかったので周辺国に出稼ぎに出ることが多かった。
・マラウイの輸入の13?20%がタンザニアのダルエスサラーム港経由。内陸のマラウイはダルエスサラームやモザンビーク、南アフリカの港から物資を入れる。
・元々は台湾と外交を結んでいたが、2007年、台湾と断交し中華人民共和国と外交を結んだ。
・マラウイ、タンザニアの国境では密交易がおこなわれている。マラウイ側からは砂糖、米、ビールが輸送されており、タンザニアからは自転車、肥料、カンガ、土器などが運ばれている。
・ビールや砂糖を密交易するときは発見された時に言い逃れが出来ない。ラベルにマラウイ製と書いてあるためだ。一方米などは見つかったとしてもマラウイからのものとばれないこともある。しかしリスクは低いが利ザヤも低いようだ。
・ンギリ、フィパーレ、エサンバ、キホダ等のダンスが有名。
・観光客は年間18万人(2008年。2000年は5万人)。9か所の国立公園や動物保護区がある。

社会人インターンのススメ?かものはしプロジェクトでの経験から? Vol.26

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本日約9か月お世話になったNPOを卒業する。この9か月間は無給で社会人インターンとしてお世話になった。

学生時代のインターンシップは日本でもかなり浸透してきている。就職活動の一環としての位置づけのものもあるが、本人の成長と社会変革の為という意義を持つインターンシップも多い。

ベンチャー、起業、NPOセクター、社会企業家等の分野のNPO法人ETIC(http://www.etic.or.jp/)、
政治家の元へ送り出しているNPO法人ドットジェイピー(http://www.dot-jp.or.jp/)等が有名だ。学生が無給やほぼ無給に近い状態でがっつりと仕事を手伝わせてもらえる。成長の機会としてはとても良い。

僕は会社を退職後、社会人インターンとしてNPO法人をお手伝いさせて頂いた。日本において社会人インターンという言葉や仕組みはほとんどないという風に言っても差支えないと思う。(僕の場合も直接代表アドレスにメールを送ってお願いをした)。

この社会人がインターンするという選択肢は今後もっと増えるべきだと考える。

●受け入れ側のメリット

・即戦力
学生インターンの場合は色んなことを教育しなければならないし、業務もモニタリングする必要がある。受け入れ側にも多大なるコストがかかる。しかし社会人経験者はその教育コスト、業務モニタリングコストが低くて済む。即戦力として活用することが出来る。

・コネクションの形成
社会人インターンは卒業後の営利セクター、非営利セクター、先進国、途上国各種の進路を取ることになる。学生インターンにも言えることだが、こういったインターンとの関係性がとても大きな資産になる。情報を得ることも出来るし、またボランティアやプロボノとして手伝ってもらう時に内部の事情も分かっているのでとても円滑に業務を協働することが出来るはずだ。

●社会人側のメリット

・幅広い経験が積める
基本的にインターンをする場合は元々いた仕事と遠い距離にある仕事の場合が多い。近い業界や業態であれば普通に転職をすればよいからだ。経験に左右されずに全く知らない業界や仕事の経験を積める。多様で幅広い経験を得ることが出来る。

また具体的な業務に関しても正式な雇用契約があるわけではないので柔軟に多様な業務を行うことが出来る場合が多い。例えば国際NGOの場合は日本と途上国、双方での勤務が短期間で可能になることもある。僕の場合も9か月の間に日本、インド、カンボジアでお仕事をさせて頂いた。

・成長に繋がる(上記と少し被ることは御免下さい。)
無給で仕事をするということはとても貴重な経験で成長に繋がるはずだ。もちろん人にはよる。しかし自発的に動ける人にとってはこれ以上の機会はない

何故なら人は対価を求めるからだ。金銭的対価がない場合、それ以外のもので自分が時間を使う対価をとても意識して求める姿勢が築かれる。例えば自己の成長であり、資格であり、経歴であり、人の繋がりであると思う。貪欲に金銭以外の報酬を求めることが自ずと成長、人生の発展に繋がるはずだ。

・就職に繋がる可能性もある
まず非営利セクターは間口が狭いと言える。そこで働いている職員の総数も狭いし、募集も頻繁にあるわけではない。このような政治やNPO等では知り合い伝いでの職員の採用も多い。これは募集コストが下げられると共に、その人の能力や姿勢が担保されるという意味ではとても合理的な手法と言える。そのような場合インターンで業界とのつながりを持っておけば就職に繋がる可能性もある。

●非営利セクター(NPO法人等)全体にとってのメリット

・優秀な人材の非営利セクターへの流入
社会人インターンという仕組みが広まることは非営利セクターにとってもとても大きなメリットになるはずだ。なぜなら優秀な人材が非営利セクターに流入するからだ。

非営利セクターは資格・経験を重視して採用することが多い。例えば修士の資格や途上国での経験、類似する業務経験などだ。こういった採用を行う合理性は高い。はずれがすくないからだ。しかし逆に言えばもしこのような採用しか行わない場合は同じような業界で同じような経験を積んだ人しか採用できない。それでは安定して業務をまわせたとしても革新的な手法や改善を行うことは出来ない。そのためには多様な経験を積んだ人材が必要になる。

この社会人インターンという仕組みが広まれば違う分野で多様な経験を積んだ人材が非営利セクターに参入することが可能となる。

非営利セクターとしては問題の解決が進めばたとえ自団体が解決をしなくても良いはずだ。市場のパイを取り合う営利企業とは違うはずだ(もちろんその限りではないが)。そのような人材の入り口として社会人インターンの仕組みを取り入れれば業界全体の底上げ、各種問題解決の促進に繋がるはずだ。

●営利セクター(株式会社)全体にとってのメリット

・ビジネスと社会貢献、双方の文脈をわかる人材の獲得
企業活動はどんどん多様で複雑になる。例えば途上国でのBOPビジネス、環境に配慮した製品等単に利益を上げるだけでは立ち行かないようになってきている。そういった時代で単に利益出せを上げられる人材だけでは企業活動としては満足でない。

営利セクターと非営利セクターの双方の文脈を理解できるような人材が必要になる。先進国と途上国のどちらでの経験もある人材が必要になる。そういった人材を底上げするためにも企業は非営利セクターとの人材の流動化をもっと奨励、促進すべきだ。例えばNPO法人クロスフィールズ(http://crossfields.jp/)が行っているような留職プログラム(企業が途上国のNGOなどに数か月自社人材を研修として派遣する制度)の利用や社会人インターンのキャリアとしての価値の認識を行うべきだ。

社会人インターンが広まれば企業としてもビジネスと社会貢献の双方の文脈を分かる人間を採用することが容易になるはずだ。

●NPO法人かものはしプロジェクト

ちなみに僕が社会人インターンシップをさせて頂いたのはNPO法人かものはしプロジェクト(http://www.kamonohashi-project.net/)だ。手前味噌で恐縮なのですが、とても良い経験を積ませて頂いた。カンボジアでは孤児院支援や警察支援、インドではNGOコーディネートや資金提供、日本国内ではファンドレイジングというようにNPOとしてとてもしっかりとした活動を行っている

そういった非営利的な側面だけでなく、過去のHTMLのコーディング事業や現在のカンボジアでの工房経営事業等、ビジネスの側面を有している。行っている事業だけでなくて、ファンドレイジングでペルソナマーケティングの手法を活用したりと、ビジネス的な手法・考え方の応用をとても自然に行っている。

設立して10年というとても若いベンチャー気質のNPOだからこそ自発的に仕事を行うことが必須となる。その自発性がリーダーシップの開発や成長に繋がった。

 進路の選択肢の一つとして社会人インターンシップというものを意識して欲しいと切に願います。社会人インターンというものが当たり前の選択肢として考えられるようになれば世界の様々な問題の解決がとても加速すると信じています。

NPOの限界?株式会社か、NPO法人か? Vol.25

以前ある社会企業家と呼ばれる方の講演会を聞きに行った。
途上国である製品を生産して日本で販売をしている事業を営んでおられる方だ。

講演の最後に質疑応答があったので僕は質問をした。

Q、『株式会社として事業を始めてらっしゃいますが、始める際にNPOにするか、
株式会社にするかで悩まれることはなかったですか?』

A、『悩みませんでした。市場に認められる高品質の製品を作ろうと思ったので
株式会社しか考えませんでした

この答えを聞いたときにNPOの一つの限界を感じた。

さて、事業を始める時にNPO法人にするか、株式会社にするかという選択は
どういう軸で考えるべきなのだろうか。

【資金調達・収益構造の軸】

例えば資金調達という観点だと株式会社は株式を発行して
資金を集めることが出来ることが大きなメリットと言える。
しかし収益は事業収入が中心となる。

対してNPOは株式を発行出来ないが事業収入の他にも、
寄付・会費、助成金・委託金といったといった多様な収益構造を持つことが出来る。

【お金持ちの軸】

また株式会社は例えばIPOによってお金持ちになることが出来るかもしれないが、
NPOはそもそも株式がないので上場してお金持ちになることは出来ない。

【ミッションの軸】

株式会社は株主に対しての責任を果たすこと、行ってみれば利益を上げることを求められる。
それと合わせてミッションを果たすことも必要だ。
利益とミッション、双方を達成することが株式会社の責任だと僕は考える。

対してNPOはミッションを果たすことが最優先だ。
その為の手段として収益をあげたり、ブランディングとしての事業を行ったりすることがあるが
あくまでもそれは手段としての利益・事業であって、ミッションとしてのそれではない。

【統治の軸】

株式会社は株式を多くもつことで組織に対しての権限を持つことが出来る。
NPOでその株式に相当するのは正会員にあたる。
つまり組織に対する議決権は正会員が持つのだ。株式会社との大きな違いは、
株式会社は個人での株式の保有株数に制限がないが、NPOはいくらお金を出したとしても
一人一株(1正会員の権利)しか持てないのだ。つまり正会員一人一人が同様の権限を持つのだ。

さらに原則的にNPOは正会員の入会を拒むことが難しいので、
株式会社とはタイプは違うが言ってみれば、乗っ取りのリスクも内包している。

上記のような様々な軸を検討した上で自らがやりたいことと
照らし合わせて法人格を選択すべきだ。

『市場に認められる高品質の製品を作ろうと思ったので株式会社しか考えませんでした』
というコメントは下記の前提を含んでいる。

・株式会社は高いレベルで事業をオペレーションすることができ、アウトプットも素晴らしい。
・NPOは事業オペレーションが苦手でアウトプットも低い。

この認識は間違っていると言える。NPOでもとても質の高いサービスを提供している組織もある。
例えば病児保育事業を行っている認定NPO法人フローレンス(http://www.florence.or.jp/)は
事業型のNPOとして名高い。
事業収益によって組織を運営しており、その提供サービスも顧客に認められている。

このような誤ったNPOに対する認識がNPOの限界を作っているように思う。

例えば株式会社に比べてNPOの方が社会的な信頼が低い。
株式会社の社員もNPOの職員も分野が違うだけでどちらもプロフェッショナルのはずだ。
しかしNPOと聞くとどこかボランティアの匂いがする。
給料に関してもそうだ。NPOは清貧たれという感覚を持っている人がいる。
寄付者よりもNPO職員の年収が高いことがあり、それを寄付者から指摘されたという話も聞く。

こういったNPOに対する誤解が未だ日本には蔓延している

繰り返すが株式会社とNPOは組織形態、
ミッション等が違うだけでどちらもプロフェッショナルの集団であるのだ。
むしろ収益性と社会性を両立させなければならない場合などはNPOや
社会企業の方がより能力や専門性を求められることもあるのだ。

この先どんどん“イケてる”NPOが日本で増えて行って、
NPOに対する社会の認識が変わっていけばNPOの限界もなくなると思う。

かつろう

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『世界で一番いのちの短い国』 シエラレオネの国境なき医師団 山本敏晴著 書評その2 Vol.24

途上国で生活するにあたってkindleを購入した。今回はそのkindleで初めて読んだ本の紹介。お会いしたことはないがとても尊敬する山本敏晴さんという方の本。僕自身が青年海外協力隊という選択肢を選んだのもこの方の影響によるところが大きい。

参考;青年海外協力隊の良し悪し
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51901806.html

【読んだ本】

世界で一番いのちの短い国
?シエラレオネの国境なき医師団?
山本敏晴著

【著者】

国境なき医師団に参加し、医師としてシエラレオネのプロジェクトに関わる。その後のアフガニスタンのプロジェクト等を経て自身でNPO法人宇宙船地球号を設立し、真の国際協力を行える人材の啓発活動等を行う。

【一言サマリー】

“本当に意味のある国際協力とは何か。”

【概要】

著者が医師として国境なき医師団のシエラレオネのプロジェクトに参加した半年間を臨場感満載で面白可笑しく描く。著者は地域医療の向上という国境なき医師団の医療のミッションを遂行しながらも、自身の目的である持続可能な国際協力、つまり自らが去った後も医療の質をこの国が独自に維持できるよう現地の医療スタッフに教育をすること、を行う。
このプロジェクトを通して、本当の意味での国際協力とは何かを著者自身が悩みながらも考え、伝えていく様がとても簡潔に、正直に述べられている。

【所感】

●教育とその後のシステムの確立
教育とその後のシステムの確立が国際協力において重要なポイントの一つだと筆者は述べている。これはサステナビリティということだ。単に一時的な援助・支援を行うのではなく将来に渡って継続的に改善・発展する為には現地の人を教育し、彼らが運営していく必要があるということだ。

この視点は本当に大切だと感じる。僕自身大学で経営学を勉強した。“事業システムと競争戦略”というゼミでとても色々なことを学ばせて頂いた。事業システムにおいての一つの肝が“仕組み化”だ。言い換えれば属人的な成果でなく、仕組みとして持続的に収益を上げられる構造を築くということだ。例えばその人が抜けたとしても問題なく事業が継続できるような仕組みを構築することが大切なのだ。

また同じく大学時代、衆議院議員さんの事務所でインターンをさせて頂いたときにも仕組みの重要性を感じた。国会議員というのは仕組みをデザインする仕事なのだ。現場で業務を行うプレーヤー、そのプレーヤーを取りまとめて運営するマネジャー、そして彼らが仕事をする仕組み・枠組みを作るデザイナーがあると考えるとするとやはり最も影響力が大きく、社会を変革できる力を持っているのは仕組み・枠組みを作るデザイナーなのだ。

会社員の営業マン時代もこの仕組み化を徹底的に叩きこまれた。社としての最も大きな強みが、誰が営業をしても一定以上の成果を上げられるように作り上げられた、徹底したプロセス管理だ。つまり行動のプロセスを管理することによって、属人的でない安定的な成果を出し続けることを可能にしているわけだ。

幸運なことに大学?社会人と、この“仕組み化”をとても重視する組織にいることが長かったことにより、この持続可能なシステム化という考え方は僕自身の仕事に対する姿勢の大きな一要素になっている。青年海外協力隊含め今後国際協力の活動を行う際にもこの根底の考えを忘れずに、仕組みを組み上げられるように精進して行きたい。

●本当に意味のある国際協力とはなにか。
また筆者は本当に意味のある国際協力とは何かという問いに対して、明確に答えがあるというわけではなく、わからないとも述べている。
人間年を取ると、ややもするとわからないということを言うのが億劫になる。なんらかの答えを求められるケースも多くなる。しかし著者は誠実にわからないと言っている。僕もそういう人間であり続けたい。

恐らく国際協力という問題に対して明確な答えは世の中には存在しえないのかもしれない。とても複雑で、汚い部分も多くあり、矛盾する部分もたくさんある業界だからだ。僕自身も恐らくこれが正解と言える答えを死ぬまで持つことは出来ないと思う。正解のない人生でもがきながら悩みながら生きて行くのだろう。その道程の中での成長や出会いや発見に人生の価値を見出して行ければといいなと思う。

かつろう

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