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皆さんはスラムと聞いてどのような印象を受けるでしょうか。
お金がない貧乏な人たちが集まっている所、仕事がない人たちがいるところ、僕はそんなイメージを持っていました。
もちろんスラムは都市に比べると生活水準が低い人が暮らしているのは間違いありません。しかし単に貧乏な人たちが住む街というだけの認識では足りない部分が多くあります。そんなスラムの現状をお伝え出来ればと思います。
今回はケニアの首都ナイロビにあるキベラスラムに行ってきました。
ケニアと言えばサファリが有名ですが、少し値が張り、また遊学という観点からもあまり気が進みませんでした。
スラムを見学したいなと思いながら街をプラプラ歩いていると声をかけてくる客引きがいました。そう、サファリ・ツアーへの客引きです。後で聞いたことですが、一人をサファリ・ツアーへ勧誘できると4000ケニア・シリング(100円=約85ケニア・シリング)を得ることが出来るらしいのです。5人の団体を紹介出来れば20000ケニア・シリングが入るというわけです。
サファリに行くつもりはなかったので、キベラスラムはどうかと聞いてみました。キベラと聞いた瞬間彼は大きな笑顔を作りました。実は彼、ジャレッドはキベラスラムの出身だったのです。ちなみに今はマジャンゴ・スラムというところに近くに引っ越しているらしいです。
ガイド料は1500ケニア・シリングで折り合いをつけ、そのままの足でマタトゥという乗り合いバスでキベラスラムに向かうことになりました。ちなみにこの1500ケニア・シリングは全て彼の懐に入ります。
まずスラムの入り口付近にあるHIVポジティブの人をエンパワーメントしている人の所に案内してもらいました。彼女は小売店を営んでおり、HIVポジティブの人が作ったアクセサリーの販売等をしていました。
キベラスラムの人口は80~100万人と言われています。アフリカで2番目に大きなスラムらしいです。ちなみに一番大きなスラムは南アフリカのヨハネスブルグにあるソウェトというスラムです。例えば僕の出身県、滋賀の人口は139万人で、鳥取の人口は58万人です。そう考えると如何に多くの人が住んでいるかがわかります。スラムドック・ミリオネアの舞台になったインドのムンバイにあるダラヴィというスラムも100万人の人が住んでいると言われています。ダラヴィもそうでしたがこのキベラスラムの中にも学校が4つあります。100万人が住み、学校があり、教会があります。スラムは巨大な都市としての様相も持っているのです。
この100万人の内、約20%の人がHIVポジティブだという統計があると教えてくれました。スラムでのこの問題の根は深そうだなと感じました。
次に案内してくれたのは町工場でした。お土産物を作る工場です。モーターで回転する切削機等を使用してアクセサリーを形作り、それに色を付けたり紐を通したりします。10人程度の小規模なものでしたが、しっかりとした電動の機械類で仕事をしていました。
スラムは安価な労働力を獲得できる工場という側面も持っています。例えばムンバイのダラヴィスラムにも多種多様な工場があり、周辺の地域の農民は農閑期にこのダラヴィスラムに出稼ぎに来たりしています。スラムには工場があり、工場があり、人が仕事をしに来たりするのです。
スラムの家々は土壁で作られたものもありますが、大部分は茶色い等のトタンを組あげて作られています。天井も、壁もとたんで覆っています。このキベラスラムの家賃は月に1500ケニア・シリングほどらしいです。皆ただで住んでいるわけではなく家賃を払ったりしているのです。ただし、電気や水道はありません。水は10リットルくらいの1タンク10ケニア・シリングで購入します。
少し歩き、音楽が大音量でガンガンかかっている家の角を折れ、ジャレッドは小路に入っていきました。少し休憩をするというのです。彼はそこでマリファナを買い、吸い出しました。都市部ではセキュリティの関係などが色々面倒で価格も高いが、スラムでは安くて、自由だと彼は言います。周りの人からの視線が少し痛かったです。観光客を連れてきていいのかということを話しているようですがジャレッドが顔役的な部分を持っていて何事も起こりませんでした。
そして次はキベラのビールを飲みに行こうと地元の人たちがたむろする飲み屋に連れて行ってくれました。そこでは砂糖とトウモロコシとウィンビ(これはスワヒリ語で結局何かわからなかった)というものでこの飲み屋で作ったジャンガというお酒を出してくれました。スピリッツのような透明で度数がとても高い酒でした。ジャレッドはアルコール類を全てビールと呼ぶようです。そこにいた10数人全員にお酒をふるまうことに。彼の顔もあるのでこれは断れなかったです。800ケニア・シリングの出費でした。
キベラスラムの中にはこのようにお酒の製造以外にも様々な仕事がありました。木を切ってくる人、その木から木炭を作る人、その木炭で火をお越しポテトフライ等を作って売る人。面白かったのが映画館です。小屋の中にテレビを置いて、そこで映画を放映しているのです。一本20ケニア・シリングでした。他には携帯電話の充電屋などもありました。
スラムは実際、ゴミが山積みされていたり、マリファナがあったり、という負の部分も確かに多いです。貧困がそこここに漂っています。しかし単に一つの側面でしかありません。学校があり、教会があり、仕事があり、人々の生活がそこにはあるのです。
“ハーワーユー”と笑顔で声をかけてくれる子どもたちがいます。
ビジネスを行うにせよ、国際協力を行うにせよ、彼らスラムの人々が重要な一つのプレーヤーになる可能性は大いにあるはずです。例えばナイロビの人口400万人の内の100万人がキベラスラムに住んでいるのです。他のスラムに住んでいる人の数も考えればこのスラムの人口はとても無視できる数字ではないのです。
そして格差が今後広がっていくことを考えれば、やがて日本にもスラムが出来てくるかもしれません。
以上簡単なキベラスラムリポートでした。
是非海外に出られる際はその国のスラムに訪れることをおススメします。単なる観光地では見れない人々の生活を垣間見ることが出来ます。ただし一人で入っていくのはとてもリスクが高いのでツアーに参加するか、ガイドを雇うか必ずしてください。
●参考:http://www.realitytoursandtravel.com/tours/slum-tours/ ムンバイのダラヴィではこのスラムツアーに参加しました。NGOが運営しており、とても素晴らしいツアーでした。インドで受けた中で最もよかったサービスでした。)
スラムの風景
HIVサポートを行っている所
町工場
飲み屋
キベラのお酒ジャンガ
携帯充電屋さん
世界一安い?映画館
かつろう
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