グローバル人材育成3つの方法 .93

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●グローバル人材とは

昨今グローバル人材という言葉が使われることが多くなりました。
日本企業は国内だけでなく、国際的に活躍出来る人材を必要としているのだと思います。

今回はこのグローバル人材を育てる方法について書きたいと思います。

まずこの記事におけるグローバル人材を定義します。

“途上国や中進国の市場を開拓できる人”とします。

今後は先進国以上に途上国や中進国での市場が重要になってくること、途上国の市場は多くの日本企業にとって確保しているシェアを“守る市場”ではなく、新しく顧客を切り開く“攻める市場”であると考え上記定義を使うものとします。

では“途上国の市場を開拓できる人材”を育成するにはどうすればよいのか。とにもかくにも必要なのは途上国に人材を送りこむことだと思います。途上国で実地の経験を積ませ、そしてそれを仕事に活かすこと。これがグローバル人材、途上国の市場を開拓出来る人材を育てる上で最も大切なことだと思います。実際にその国に住んで、仕事をしてみないとその国の事など理解できません。数字や情報も大切ですが、実際に感じる肌感覚なくしてはそれらは意味を持たないと思います。

ではどのようにして途上国で実地の経験を積ませればよいのでしょうか。今回はその3つの方法をご紹介したいと思います。

●自社で派遣する

自社の支社が途上国にあったりする場合は直接そこの派遣をして経験を積ませるのが一番の方法だと思います。実際の仕事をやりながら学ぶのはとても効率的です。日本でも商社やメーカー、銀行等は積極的に途上国に人材を送りだしています。現地語が必要な場合は初めの数か月?1年くらいは現地の語学学校に通わせて、その後実際の業務に携わらせるという場合が多いようです。実際、私が中国は上海の復旦大学に短期留学していた時に駐在初期の研修として語学を学びに来ているメーカの人がいましたし、商社で海外駐在になった先輩はまずは1年間語学学校に通った後、実際の業務に携わると言っていました。

余談ですが、日本の場合は数年で駐在を終えて帰国したりするのがほとんどだと思いますが、韓国のサムスンなんかはその国に派遣されたらそこで一生やっていくというような話も聞いたことがあります。一生その国でやっていくとなれば本気度合が一層あがるんだと思います。

●民間連携制度

しかし大手ではない限り、海外に支社はないという企業がほとんどだと思います。また大手であったとしても自社で進出していない地域には自社では派遣することが難しくなります。アフリカ大陸なんかはその典型かもしれません。

ではその場合どうしたらいいのか。外部に委託すればよいのです。

まずおススメしたいのが、JICAの民間連携制度です。
(http://www.jica.go.jp/volunteer/relevant/company/cooperation/)

この民間連携制度とは、簡単に言えば企業から青年海外協力隊員を派遣する制度です。
制度の詳細は前回のブログで紹介していますので参照頂ければ幸いです。
(JICA民間連携制度とは?途上国に関心がある社会人必見!vol.92)

普通の協力隊だと2年任期ですが、例えば1年と言った風に派遣期間を調整出来ます。また派遣先の国や案件もJICAと調整することが出来るので進出を考えている国へ先兵として人材を送りだすことが出来ます。

●NPO法人クロスフィールズの留職プログラム

NPO法人クロスフィールズさん(http://crossfields.jp/)は留職という、日本の企業人材を途上国の組織に一定期間派遣することで、日本の企業の人材育成と途上国の発展への貢献をするというプログラムを展開されています。

途上国の組織に派遣するという取り組みはICV(International Cooperate Volunteering)と呼ばれ欧米でも普及しつつあるようです。以前フランスのICVの組織に話を伺ったことがあるのですが、この制度が欧米で広まる理由の一つは欧米の休暇の制度にあると思いました。ICVは企業派遣と個人参加の二つに分かれます。クロスフィールズさんがやられているような企業派遣と、個人が直接ICVエージェンシーを通して途上国で業務をする二つの形態です。欧米では1?2か月単位で休暇をとれることもあるので、その休暇を利用して途上国に貢献するというICVの形態が成り立っているようです。これがICV全体の裾野を広げているといえます。さらに、フランスではこのICVを利用するためにかかった費用の66%は額は国が税金控除の形で補助されると言っていました。欧米ではこのような休暇制度、国の補助制度がICV制度を後押ししているといえます。

以前クロスフィールズさん経由の方とNPOで一緒にお仕事をさせて頂いたのですが、とてもプロフェッショナルな仕事をされていました。

クロスフィールズさんの留職プログラムはJICAの民間連携制度に比べると期間や内容等、自由度が高い内容になると思います。また案件に関して詳細をしっかりと打ち合わせて、貢献内容やそこから得られるアウトプット、成長などもしっかりと決められると思います。そして定期的にフィードバックをし、活動内容に助言をもらえたりするのでしっかりと方向性のかじ取りが出来ると思います。

実は協力隊では、案件がしっかりしていないということがたまにあります。配属先にいってみると配属先がなくなっていたり、配属先で必要とされていなかったり、ただ単に日本からの助成金を引っ張ってくる窓口と思われたり。もちろん全てが全てではありませんが、そういう案件もあるにはあります。また青年海外協力隊の案件は内容があいまいなことも少なくありません。ざっくりとコミュニティの収益向上に協力してほしいとか、組織の運営を円滑にするとか、実際受け入れる側も、どういうことをすれば良いのかわかっていない場合もあります。もちろんそこで問題発見能力を養うというのも必要なのですが。

●まとめ

私自身、大学の頃そして社会人になってからもバックパックでアジアや南米、中東やアフリカ等を回りました。そして今は青年海外協力隊としてマラウイに来ています。

旅で数日から数週間でその国をとおり過ぎるのと、その国に腰を下ろして数か月単位で仕事をするのではやはり違うと感じます。1つには、しっかりと腰を下ろして住んだほうがその国の人を感覚を通して深く知ることが出来るようになるのだと思います。例えばマラウイ人の中にはとても優秀な人が多いです。しかし忠実で仕事はしっかりとこなすけれども、自分が引っ張っていくような起業家精神にはかける所があります。不満は結構言ったりするし、ちょっとした小競り合いはするけれど、大きな暴動などはしない。お金がないと言ってはいるくせに食べ物を残したり捨てたりする。これらは数字やなんやらではなくて感覚値に近い情報になります。多分、旅で通り過ぎただけでは感覚値としては理解できなかったと思います。

ビジネスやプロジェクトにおいては数字だけでなくこういった感覚値がキメの部分に影響してくることも多いと思います。

グローバル人材、途上国や中進国の市場を開拓できる人材を育てるためには、現地に住んで仕事をする機会を作り、そういった感覚値を養うことが必要になるのだと思います。

かつろう

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JICA民間連携制度とは?途上国に関心がある社会人必見! .92

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●民間連携制度とはなにか

今回はJICAが行っている青年海外協力隊との民間連携制度を紹介したいと思います。
(民間連携制度:http://www.jica.go.jp/volunteer/relevant/company/cooperation/)

この民間連携制度とは、簡単に言えば企業から人材育成目的で青年海外協力隊員を派遣する制度です。

私の同期にも金融機関から民間連携制度を利用してタイに派遣されている人がいます。タイはもはや中進国の体ですし、金融や保険など中所得向けのサービス分野の企業にとっては魅力的な制度に移ったのだと予想されます。途上国・中進国で活躍できるグローバル人材を育てるニーズは今後どんどん高まっていくのだと思います。

私の時は1人、その前の隊次では3、4人この制度を利用していたと聞きました。協力隊は年間4回派遣があるので、そこから考えると現状では毎年10人程度はこの制度を利用しているのではないかと思います。

派遣をする職種、つまり案件もマーケティング、経営管理といったビジネス的なもの、コミュニティ開発、青少年教育といった現地の人と農村部などで本当に近くで活動をするもの、自動車整備、電子機器といった技術的なもの、感染症・エイズ対策、看護師といった保健分野のものまで多種多様にあります。

●普通の協力隊と民間連携制度の違い

普通の青年海外協力隊と民間連携制度の制度としての違いを見てみたいと思います。

制度は普通の協力隊だと下記のような感じになります。

・応募は年に2回。
・一般人が普通に応募。
・仕事を辞める人もいれば、会社と話して求職する人もいる。
・任期は2年間。
・派遣先の国や案件の希望は出せるが、どの国のどの案件になるかは基本JICAの一存で決まるので自分で選べないことが多い。

対してこの民間連携制度だと普通の青年海外協力隊に比べてメリットは下記のようにあります。

・応募は随時受付・民間連携を利用した場合、融通が利き1年だけの派遣なども可能。短期ボランティアとして派遣すればさらに短い期間での派遣も可能。国や案件を調整することが出来る。一般受験だと国も案件もJICA側に全て委ねられますが、この制度だとJICAと話あって調整することが出来ます。少なくとも国を指定することは間違いなく出来るはずです。・中小企業については社員の給与の8割を補助する等の制度があり

●普通の協力隊と共通のメリット

他のメリットとしては派遣前の語学訓練、現地での安全確保や医療のバックアップ、現地だけでなく世界に渡る協力隊ネットワークの繋がりがあげられます。

・派遣前語学訓練

派遣前の訓練は協力隊と同様に受けることが出来るのです。2か月間、みっちりと英語や現地語の訓練をJICA負担で受けることが出来ます。この語学訓練のクオリティはかなりしっかりしています。数人?多いと6人くらいに分けられ、午前午後と外国人の先生から英会話やプレゼンテーション手法、技術的な内容などを学びます。

・現地でのバックアップ

さらに協力隊員同様、現地での安全の確保や医療のバックアップなど全てJICAが行ってくれるのです。他にも現地の住居等、生活に必要なバックアップなどを受けられます。これを自社で賄おうとすると保険料や各種手配だけでも相当費用はかさみますし、労力も使うはずです。

・人脈,ネットワーク形成

また各国の政府機関に派遣されることも多いので、その国の公的機関とのつながりを作るのにも役立ちます。

そして現地の人や政府機関との人脈形成はもちろんですが、それだけでなく協力隊の横のつながりも出来ます。私の時だと同期100人と2か月間派遣前訓練を共にしました。そして各々、各国で2年間活動するのです。

単に自分の派遣されている国だけではなくて、世界中に派遣されている日本人とつながりを持つことが出来るのです。何かその国についてわからないことがあれば聞けるでしょうしこのネットワークは財産だと思います。良くも悪くも協力隊はつながりが強いです。(悪くもとはついつい内輪で閉鎖的なことになることもあるということです。)

●JICAとのコネクション、民間連携以外の支援獲得への糸口

さらにもう一歩進んで考えると、この民間連携制度を利用することによってJICAとのつながりを持つことが出来ます。そのつながりによって他の支援・協業を検討出来るのではないでしょうか。

JICAは企業やNGOの途上国進出の為の様々な支援制度を持っています
(http://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/index.html)

例えば協力準備調査(BOPビジネス連携促進)
http://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/BOP/index.html
という制度では途上国で新たなビジネスやプロジェクトを始める予備調査のための費用として最大3年、5000万円までの費用を補助してくれます。

このような制度を利用したいと思った時にはプロポーザルを提出しなければなりません。グラントやプロポーザルが承認されるためには様々な要素が必要になってきます。内容や将来性がしっかりと提出書類に示されることはもちろんですが、それだけでは十分とは言えません。人とのつながりが重要になってきます。JICAの担当の人と色々と関係性を持っておく必要があるのです。そのような関係構築の第一歩として、協力隊の民間連携制度を位置づけることも出来ます。もちろん案件によって担当者は変わるでしょうが、紹介をしてもらったり、色々と提出内容についての相談などをすることが出来ると思います。

●まとめ

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【普通の協力隊と違うメリット】

・年間随時受付

・期間は数か月?1年、2年と様々に調整することが出来る。

・派遣先の国や案件についてJICAと調整することが出来る。

・中小企業は給与の8割などを補助する制度を活用できる。

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【普通の協力隊と共通のメリット】

・派遣前に2か月間の語学訓練を無料で受けられる。

・派遣後の安全の確保や医療のバックアップはJICAが行ってくれる。

・世界的なネットワークの礎を築くことが出来る。

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【その他】

・さらにJICAとの関係性構築によって、他の支援獲得や協業に繋がる糸口となる

もしあなたが途上国進出を目論む企業の人事担当者ならこの制度を利用しない手はないと思います。

もしあなたが途上国で仕事をしたい社員ならこの制度を人事に持って行き、派遣してもらえるように交渉しても良いのではないでしょうか。

かつろう

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