日本企業のエボラ支援が少ない理由 .140

西アフリカで発生しているエボラ出血熱による死者は5000人(2014年11月11日現在)に達しようとしている。日本企業がエボラ出血熱に対して大規模な支援をしているという話は聞かない。何故なのか。アメリカの企業の支援や日米両政府の支援額などをみながら考えたい。

●グーグルの支援

グーグル(つまり創業者ラリー・ページ)がエボラ支援の活動を始めた。28億円(25million USD)の直接支援に加えてこのサイトで(https://onetoday.google.com/fightebola)で、寄付を募っている。1ドル寄付されると、2ドルをグーグル側が負担するというマッチング・ギフトの仕組みだ。合計で7.5million USDになるまでということは一般からの寄付が2.5million USD、グーグル側からは5million USD、つまり合計でグーグルは30million USDをエボラ支援として拠出するというわけだ。

●フェイスブックの支援

フェイスブックのCEOはマーク・ザッカバーグは28億円(25million USD)の支援を表明している。それに加えてフェイスブック上で寄付を募るボタンの設置を行っている。(http://www.reuters.com/article/2014/11/06/us-facebook-ebola-idUSKBN0IQ1SI20141106)

またマイクロソフトのビル・ゲイツ(ビル&メリンダ財団)は56億円(50million USD)の支援を約束している。

●アメリカ政府、日本政府

この企業の支援がどのくらいのインパクトを持つことになるのかを考えるためにアメリカ政府と日本政府の支援額も見てみたい。

アメリカ政府は資金援助としては345億円(300million USD)の支援を表明している。医療従事者の派遣や医療施設の建設といった直接的な支援も行っている。
http://www.officialwire.com/pr/fact-sheet-the-u-s-governments-response-to-ebola-at-home-and-abroad/

これまで(2014年11月7日まで)の日本政府は物資の救援等含めて32億円(27.89million USD)だということだ。他にも専門家の派遣など行っている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001420.html

●企業、起業家のプレゼンスの高さ

上の数字をみると企業や起業家がいかに多くの資金を提供しているかがわかると思うお。グーグルが30million USD、フェイスブックは25million USD、ビルゲイツは50millionUSD、で合計が100millionを越えている。つまりこの3社、3者で115億円を超えているのだ。アメリカはさすがに財政支援だけでも345億円と大きい。日本は32億円と、グーグルの支援額よりも少ないのが現状だ。

もちろん金額だけでは測れない。しかし国際社会に対してのインパクト、貢献と考えた時に一企業、一起業家が持つ影響力がとても大きくなっていると言うことが出来る。

●日本企業による支援

では日本企業による支援はどうだろうか。ぱっと調べて出てきたのはブリジストンの1億円相当の寄付。(http://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2014092903.html) あまり目立って他の大きな支援があるようには見えない。

●日本企業や日本の起業家による支援が薄い理由

ではどうして日本の企業や起業家によるエボラ出血熱に対する支援がうすいのだろうか。理由は2つあると思う。

1つは「対岸の火事」という意識、つまり当事者意識の欠如だと思う。アフリカも含めた地球全体としての便益や利益、そして助け合い、そういった意識が低いのだと思う。災害等の支援は感情的にも支援したくなるし、また一般消費者に対してのウケも良い。企業側として支援をしたら企業イメージがあがるメリットがあるわけだ。しかしエボラ出血熱に対しての支援に対しては直感的な悲劇感が災害に比べると少ない。故に支援をしても企業イメージの向上にはそこまでつながらないし、そもそも支援も単純な救援とは違って保健システムの構築であったり、医療従事者のための医療施設であったりと直感的にもわかりにくい。そんな環境で支援をするというのは当事者意識しかないと思う。ビジネス市場として地球全体を見ているか、そして一緒に地球上に住んでいる感覚を持っているかというというような意識が日本の企業や起業家にはすくないんじゃないかと思う。

2つ目は寄付や社会貢献そのものに対して「Cool」と思われる文化がない(少ない)んじゃないかと思う。ビル・ゲイツとかラリー・ペイジ、マーク・ザッカバーグなんかはキリスト教的に寄付することを当たり前の義務と感じているはずだ。そしてそれに加えて、多額の資金を提供する彼らに対して社会が「Cool」、かっこいいという評価を与えてるんじゃないかと思う。アメリカに住んだことないから本当のところはわからないけれど、寄付文化がこれだけ浸透してるっていうのは施しの精神だけじゃなくて、その行為に対する社会的な評価が高いんだと思う。

日本で寄付しても「いい人」どまりで、「かっこいい人」とはならない気がする。感覚的に。やっぱり「いい人」と思われるよりも「かっこいい人」と思われた方が嬉しい気がする。

企業として、起業家として本当の意味でグローバルになるっていうのは単に事業の展開とかじゃなくてこういう地球規模での社会貢献的な姿勢や意識が必要なんじゃないかなと思う。

かつろう

 

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