以前、展示・陳列に関する営業研修の内容をお伝えしました。
(途上国で売り上げアップ!商品陳列・展示の営業研修 Vol.76)
今回は「製品知識」をテーマに行いましたのでその内容をお伝えいたします。
私が青年海外協力隊として所属しているPSIというNGOはマラウイで保健製品の販売を行っています。例えば男性用コンドーム、女性用コンドーム、蚊帳、経口補水液、塩素水溶液、マラリア治療薬、ピル、アフターピル、避妊用インプラント、避妊用注射などです。
営業の仕事はややもすると、関係性や言葉で売ってしまうので、ついつい弱点になりがちな製品知識を補強する研修を行いました。
1、前回のレビュー
前回行った研修内容のレビューを行いました。前回の営業研修では展示や陳列に関してのセオリーを紹介したので、覚えているものを挙げて説明してもらったりしてから、全体を振り返りました。
2、製品知識の大切さ
次に製品知識の大切さを説明しました。何故製品の知識を正確に覚えることが大切なのかです。
まず売り上げの向上に繋がるという説明をしました。製品の知識をしっかりと持っていることによって自信を持って製品を説明することが出来ますし、また何か質問された時に正確にその場で答えることが出来ます。これらは信頼の構築に繋がり、そして売り上げの向上に繋がります。そして購入を拒否された時に、適切に切り返すことも出来るようになります。これについては下記の5、ケーススタディで詳細を説明致します。
また製品知識を正しく認識することは、最終消費者に対しての正確な情報の伝達に繋がります。例えば、汚染水を消毒する塩素液の場合、塩素液3ミリリットル分を20リットル分の水に入れます。(製品のキャップが3ミリリットルを計量できるようになっています)。そして十分に混ぜてから30分以上まって初めて飲むことが出来るようになります。このような製品の使用方法はラベルに書いてあるのですが、文字を読めない人も途上国では少なくありません。またラベルに書いていないことも伝える必要があります。例えば、綺麗にみえる水でも汚染されている可能性があるから、全ての飲み水を消毒する必要があるという一般的な知識等です。
情報はセールスマンから店舗のオーナーや店員に伝わり、そして最終顧客に伝わります。まずセールスマンが第一に正確な情報を伝えないと正しい使われ方がされない可能性が出てくるのです。
3、製品の知識テスト
あらかじめ作っておいた製品に関する知識テストをします。製品の仕様や価格についてはもちろんのこと、他にも前年度の売上や競合製品、製品を助成してくれているドナーや発売が始まった年やブランドを新しくした年などを幅広く聞くテストを実施しました。文章の穴埋めを中心に50?60問くらい作りました。
そしてこの答え合わせを全体で行います。テストの回収や採点は一切行いませんでした。現状でどれだけの点数を取れるかではなく、今回でしっかりと知識を定着させることが大切だと思ったからです。また営業マンとしての立場の上下もあるので、変に点数をつけて営業マン同士や自分自身との関係を悪くしたくなかったというのもあります。
一問一問、答え合わせを全体で確認してから回答が埋められたシートを配りました。
4、製品仕様一覧表の読み合わせ
テストで出したところを含む、包括的な製品仕様一覧表を全体に配り、読み合わせて行きます。その中で随時追加したいことや加えたいことはその場で発言してもらい、書き加えて行きます。競合製品の価格や強みなどは現場のセールスマンの方がよく知っているからです。彼らの知識を定着させつつ、彼らの知っている知識を共有するというセッションになります。
5、ケーススタディ
最後は、知識を使った実際の応用を行います。具体的にお客さんとのやりとりのシチュエーションを想定して、それに対して知識を使って説得するという内容です。
例えばお客さんが、他社の安い蚊帳を扱っており、PSIの蚊帳を買ってくれない。その時どのように説得しますか?といった問いを投げます。
答えとしてはPSIの蚊帳は殺虫剤の浸透が強く、5年間または20回の洗いにも耐えられるので他社の製品よりも長持ちし、結果的にはお客さんも得をするというように製品の仕様を使って説得してもらうことを考えてもらうのです。
時間がなかったので、質問を投げて皆に答えてもらうというセッションにしましたが、時間があれば個人で考えてもらった後、グループで討議してもらって発表してもらう。その答えをもとにロールプレイングを行うという内容にしても良いと思います。
6、アンケート
最後にアンケートを書いてもらって終了です。営業研修の内容、研修の時間等について評価をしてもらい、その理由もかいてもらいます。また次回研修で学びたい内容なども書いてもらいます。
製品の知識は営業の基礎の基礎になります。以前制御機器メーカで営業をしていた時は本当にこの製品知識や技術を常に学び続けるという日々でした。日々、技術は進歩し、担当していない製品も含めて自社の製品はすぐに新しいものが出ますし、他社の製品も新しいものがどんどん出てきます。その経験から身を持って製品知識の大切さを実感していたので今回はこれをテーマにセッションを開きました。
例によって当日使ったパワポなど必要であれば差し上げますのでご連絡下さい。
かつろう
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