日本にとってアフリカの時代が“来ない”かもしれないという仮説

よく“これからはアフリカの時代だ”、“アフリカは最後のフロンティアだ”ということを聞くことがある。これに関しては100%賛成だ。人口や経済の伸びを考えれば中国やインドに次いでアフリカを無視して考えることは出来ないと思う。

ただ、この命題が日本に当てはまるかというと話は別だと思う。つまり日本にとってアフリカを重視すべきかどうか、ということと、世界経済としてアフリカを無視できないということは別ということだ。例えば人口も経済も伸び盛りのアメリカ、中国やインドにとってはアフリカという市場は打って出るべき市場である。今のうちから現地に入りこんでおけば将来的なリターンは大きい。世界の流れは確かにアフリカなのだが、日本は果たしてアフリカに積極的に進出すべきなのだろうか。

日本は国内の市場が頭うちだ。なんとかして海外に進出していかないと近い将来に食いっぱぐれることになる。ではどこに出ていくべきか。単純に言うとリターンの大きな市場に出るべきだと考えられる。リターンの大きさは、見込まれる利益とそれを獲得できる確率で考えられる。アフリカに進出した際の見込まれる利益というのは長期的にみるととても大きいものだと考えられる。市場としての大きさは魅力的だ。ただし、それを獲得できる可能性がどれだけあるか、ということに関しては懐疑的にならざるを得ない。つまり一部の産業(自動車等)を除けば、日本企業がアフリカで勝てる可能性というのはあまり高くないように思う。中国の華僑やインドの印僑はアフリカ中どこに行ってもとても強い力を発揮している。単なる外国人としてではなく、例えばインド系ウガンダ人(歴史的にインド人がイギリス人にウガンダに連れてこられた)、南アフリカの市民権を持った中国人といった形で現地に根差して生活とビジネスを展開している人も多い。彼らだけでなく、レバノン人等も入り込んでいる。そしてヨーロッパ系の企業も強い。特に旧宗主国との関係は深いものがある。イギリスやベルギー、オランダといった旧宗主国は旧植民地に対して援助や文化などを通して影響力を未だに持っており、企業の進出に関してもプラスになる。もちろんアフリカの企業で強いところも多い(例えばリテールのショップライトや通信のMTN)。それに対して日本はアフリカという市場ではあまり強みがない。物理的に市場が遠いので、人や物の移動でも不利だし、文化的な差異も大きいので単純に製品をただ持ってくるだけでは上手くいかない。その上で上記にあげたように多くの競合がひしめいている。アフリカは市場的に魅力的だが、日本企業にとっては勝てる算段が少ない市場であると言えるのだ。

さらに海外進出とは機会の問題であるとも思う。つまり限られた資本をどこに投下するか、ということを考えた場合にアフリカよりもまずはアジアで戦うべきという判断が為されることが多いと思う。アジアであれば文化的に近く(アフリカに比べると)、市場が理解しやすいということもあるし、物理的にも近い。また日本企業が今までも進出してきたので、他の企業やコンサルに対して進出に関して相談を出来たりする機会が多いと思う。それに加えて中国やインド、インドネシア、タイといった市場は伸び盛りであるので今後どんどん市場が拡大していく。よくわからないアフリカよりもアジアに投資・進出した方が確実だとうい結論に至るのは想像に難くない。

それでも長期的に見ればアフリカが重要なのは間違いがない、またアジアである程度の市場を押さえてしまえば次はアフリカに出ざるをえないといったことも考えられる。もちろん的を得ていると思うけれど、日本は長期的に見れば国力が失われるのは避けて通れない。人口縮小、経済停滞、または縮小することは国を一つのサイクルとして捉えた時に避けて通れない流れだと思う。日本は成熟期の後半から衰退期に差し掛かっている国家だと思える。今後国が凄い勢いで継続的に伸びていくのであれば長期的な視点でアフリカを見るのは合理的だし、アジアの市場を抑えきってしまえばアフリカに出るべきだと思う。ただし、国力、つまり国の競争力、つまり産業の競争力が失われつつある日本の企業にとってアフリカに打って出ることが合理的であるという判断は今後未来永劫に渡ってあり得ないのかもしれない。もちろん企業によって事情は違うだろうし、ある企業にとってはアフリカは合理的だと思う。ただし総論として見た時に、日本企業がかつて中国に大挙して進出したように、アフリカに波のように打って出る時代は来ないのかもしれない。

アフリカが来る来る言われてはいるが、実はアフリカは来ないのかもしれない。上記のようなことを考えてそんな仮説を考えたり。サブサハラアフリカに初めて足を踏み入れたのは2013年の5月か6月くらいだったから4年弱、アフリカと関わっている。旅行をしたり、青年海外協力隊をしたり、留学をしたり、インターンをしたりと色々と関わってくる中で、日本企業がアフリカへ進出する勢いとか波のようなものを肌感覚として感じる事があまり出来ずにいることが根本にはあると思う。もちろん進出がゼロであるかといえばそうではないけれど、目まぐるしく変化していく世界のダイナミズムの中で、日本企業のアフリカでの勢いというのは小さいように感じる。それを前提としてただそれを分析的に考えるのと、だからこそ自分はどうしたいのかという視点をもって積極的に関わって波風を立てるというのは全く違うと思うし、出来れば後者でありたいなとは思うけれど。

 

かつろう(@ka26oo)

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