青年海外協力隊として2年間日本を離れ、2015年の9月に帰国しました。この2年間の間、派遣国であるマラウイや周辺のアフリカ諸国に滞在していたので日本には一度も戻りませんでした。2年ぶりに日本をみて感じたことは海外からの人の増加と日本の相対的な物価の低下です。
●外国の人が多くなっている
二年前に比べて東京にいる外国人の数が増えているように感じます。中国や韓国と言った東アジアの人を始め、タイ、インド、欧米、アフリカ系など様々な人種の人の割合が東京の随所で増えているように感じます。新宿、六本木、銀座、街中を歩いていても外国語を耳にする機会がとても増えています。居住している人も観光で来ている人も増えているのだと推察します。また外国人の店員さんの数も増えていると感じます。少し安い居酒屋に入ると、ややもすると日本語がほとんど話せない店員さんがいらっしゃったりもします。
●東京が安くなっている
シンガポールやニューヨークといった国に行った人の話を聞くと日本の物価や家賃などがとても安いそうです。バーで席について一杯カクテルを頼むだけでも約3000円くらいしたり一人暮らしの家賃が20万円以上なんてこともザラだということです。(家賃の低さに関しては東京の地下鉄・鉄道システムが発展していることが大きな要因と言えますが)。アフリカでも外国人が行くようなレストランやバーであればそれなりの価格が取られます。もちろん現地の人が行くローカルなお店は安いですが、しっかりとしたサービスを提供するホテルやレストランでは東京との価格差はどんどん詰まっているように感じます。
●サービスの質が低下している
某ファストファッションでズボンのすそ上げをオーダーして後日取りに行くと、その製品を間違って他の人に渡したらしく、再度採寸し直しということがあったり、某中価格帯ファミレスでオーダーしたら違うものが出てきたり、クリーニング店にスーツとシャツを出したらスーツのみを渡されてシャツを忘れられていて後日取りに行く羽目になったり、帰国して一か月で色々とサービスのクオリティが低くなってるなーと感じました。もちろんこういったサービスのミスも元々あったと思いますが一か月の間でこれ以外にも色々とあれ?と思うようなことがありました。このサービスの質の低下も海外顧客の増加、外国籍の方の居住の増加などと関連していると考えられます。日本人向けのサービスであれば質を良くしなければならないですが、海外顧客向けであれば質はそこそこで価格を抑えるといった戦略の方が良い場合もあります。
●背景には円安がある
背景にはここ数年の安定的な円安があると言えます。円が安いと相対な価格が下がりインバウンド、海外から日本に来ること、日本で購買することの需要が増えます。ただしこの円安が実は適正な円という強さであれば円が高くなるということがしばらくはないのかもしれません。もしくはさらなる円安に進むことも考えられます。そうなればますます日本が安い国となります。対して海外の中間層や富裕層は購買力をどんどん伸ばしています。東京の物価が高いという認識はいずれ消えるのかもしれません。
●日本を長期的に離れることのメリット→漸進的な変化の気づき
漸進的な変化というのは、その物事に寄り添っていては気づくことが難しいです。例えば徐々に水を熱すると、中にいたカエルはその水温の変化に気づかず茹であがってしまうと言います。例えば、毎日あっている人の体重の変化には気づきにくいものです。しかし漸進的な変化であっても、久しぶりにそれに触れると気が付きます。過去のそれと、現在のそれが、点と点として認識されるためにその差がはっきりとわかるからです。
祖国をしばらく離れてみる価値というのはそういうところにあるのではと感じます。日本で日常的に暮らしていたら感覚的な変化に気づくことはとても難しいこととなります。しかし年単位ではなれるとその違いを認識することができます。そしてそこから日本の方向性を考えることが出来ます。日本の将来を見据えるためには、逆説的に日本を離れてみることが大切なのかもしれません。
かつろう