ザンビアやマラウイでの組合制度的なタクシーの仕組み .154

タクシー

ザンビアの首都ルサカにあるJICAドミトリーの近くにはいつも複数のタクシードライバーがたむろしている。何故そこでたむろしているのか疑問に思って、ドライバーに聞いてみた。街の中心地で、どこにでもアクセスが良いからかと思ったがそうではないらしい。駐屯地の立地だけで言えばもっと良い場所もあるようだ。答えは、そこのグループに属しているからというものだった。

●タクシードライバーのグループシステム

ルサカのタクシードライバーは基本的にグループに属すのだそうだ。個人経営と会社経営が入り混じる日本とは違い、ルサカのタクシーは個人経営が主だ。(会社もあるのかもしれないけれど、主流ではないはず)。そしてグループ毎にたむろする場所が決まっているのだ。日本では道路を流して客を拾うのが主流だが、ルサカでは電話で呼ぶか、もしくは止まっているタクシーに乗ることが主流。流すのにもガソリンが掛かるからだろう。こちらの価格では、流していてはガソリンの元が取れないのだろう。つまり個人でタクシーを経営する場合、必ずたむろする場所が必要になるのだ。

袋小路になった道路の先とか、ショッピングモールの駐車場など、たむろするのに適した場所は既にどこかのグループに締められているそうだ。だからタクシーを新規始めようとした場合、どこかのグループに属さなくてはならない。

●グループシステムのメリット

このタクシーのグループシステムはタクシードライバー、そして利用者、双方に対してプラスに働いていると言える。まずこのグループシステムがあることによってタクシーの新規参入が抑えられる。グループに属す為には2つの要件が必要になる。まずは入会金をはらうこと。おおむね500~700ザンビアクワチャ(約70$~100$)くらいに設定されているらしい。そしてもう一つはメンバーからの承認だ。仲間と認められなければ参加できない。この参入障壁があることによって、無用にタクシーが増えすぎることを防いでいる。参入の増加による競争の活性化は一見するとよさそうに聞こえるが、弊害も多い。例えば無用な価格競争を引き起こすことによってタクシーサービスの質の低下を引き起こすかもしれない。儲けが少ないとメンテナンスにお金をかけられず、事故に繋がることも考えられる。

そしてこのタクシーグループは利用者にとってもメリットが大きい。まずは悪質なドライバーが少なくなるということがあげられる。グループはタクシードライバーを選別して仲間に加える。質の悪いドライバーが仲間に入り同じグループで活動すると、グループ自体の評判、そして収益の低下に繋がるからだ。また利用者はグループシステムによる質の高いシステムを享受することが出来る。例えばドライバーが忙しくてその場所に行けない場合、他のドライバー仲間に迎えに行ってもらったりすることが出来る。他にも、もしも携帯電話などを忘れたとしてもそのグループの誰かに言えばしっかりと返って来たりする。グループ制でなければ荷物を持ち逃げされるかもしれないし、そのドライバーと連絡がつかない場合どうしようもなくなる。グループシステムであればそういった持ち逃げリスク、紛失リスクを最大限に減らすことが出来る。

こう考えるとこの個人事業主の集まりのタクシーグループは一つの“会社”的に機能しているように感じる。京都のMKタクシーなどは最たる例だが、会社によってサービスの質が保たれる。物を忘れても発見できる。近いドライバーを派遣してくれる。こういった機能はまさに会社組織の強みだ。もちろん利益の分配や給与体系といった部分は違うが。

●マラウイにも同様の仕組みがある

マラウイでも同じようにタクシーはグループで集まってたむろする場所が決まっている。首都リロングウェで一番大きいグループはオールドタウンのバスデポにあるグループで、100台以上が一つのグループに属している。長距離バスが発着するので稼ぐには最も良い場所だと言える。

このタクシーグループはバランスが取れたとても良いシステムだと感じる。もしも外資系などのタクシー会社が市場に参入してきて、政府もそれを後押しするために違法な個人タクシーの摘発等に乗り出したら(ザンビアでもマラウイでもタクシードライバーは非合法であることが多い。マラウイの場合だと正式に届け出れば、白地に赤文字のナンバープレートが与えられる。ミニバスなんかもこの色のナンバープレートだ。)、このシステムのバランスが崩れてタクシーサービスの質の悪化やそれに伴う不安定な価格等に繋がるかもしれない。国が産業を奨励する時は、状況応じて、大会社に任せたり、個人事業主に任せたり、臨機応変な対応が必要になると感じた。

かつろう

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