マラウイの国家元首は大統領です。国民による直接選挙で任期は5年となっています。来る2014年5月20日に大統領選挙、国会議員選挙、地方議員選挙のトリプル選挙が実施されます。TVでは党首討論なども行われ盛り上がって来ています。選挙に行こうと言うTVコマーシャルや、農村部での選挙の方法を解説する為の車など、投票率を上げる工夫がされています。
この選挙はもちろん今後のマラウイの方向に大きく影響してくるわけです。今回はこの大統領に関して状況を説明しようと思います。
●今までの政権担当者(かっこ内は政党名)
・初代大統領カムズ・バンダ(MCP)1966-1994年
英国から独立しての初代大統領。一党独裁の政治を敷いていた。
・第2代大統領バキリ・ムルジ(UDF)1994-2004年
複数政党が認められるようになってから初めての大統領。自由への改革を叫び当選。ムスリム。マンゴチ県等に多いヤオ族出身。
・第3代大統領ビング・ワ・ムタリカ(UDF⇒DPP)2004年-2012年
2012年、大統領在任中に急逝。
・第4代大統領ジョイス・バンダ(PP)
2012年、前大統領の急逝に伴い、副大統領であったジョイス・バンダが大統領となる。もともとDPPに所属していた彼女だが、ムタリカ大統領と対立し2011年PPを旗揚げする。
●立候補者
立候補は全部で12名つまり12政党います。その中でも有力視されているのが、上記歴代大統領が所属したMCP(Malawi Congress Party), UDF(United Democratic Front), DPP(Democratic Progressive Party) , PP(People’s Party)の4つの政党です。
有力の4党の立候補者を見ていきます。
PP:ジョイス・バンダ現大統領。副大統領候補は中部(デッザ)出身の現役産業貿易省大臣。南部が母体。
DPP:ピーター・ムタリカ氏。3代大統領ビング・ワ・ムタリカの弟。副大統領候補は携帯通信大手Airtel社元社長。南部が母体。
UDF:アトゥペレ・ムルジ氏。2代大統領バキリ・ムルジの息子。副大統領候補は中部(リロングウェ)出身の元国会議員。南部が母体。
MCP:ラザルス・チャクウェラ氏。副大統領候補は北部(カロンガ)出身の国会議員。中部が母体。
ちなみに選挙人登録(投票できる有権者数)は約700万人で、北部:中部:南部だと1:3:3だと言われている。つまり中部、南部の票が需要なのだ。
PPの支持者。イメージカラーはオレンジ。
DPPの支持者。イメージカラーは青色。
UDFの支持者。イメージカラーは黄色。
MCPは確か赤色だったかだと思います。未だ遭遇してないので写真なしです。。
●街の声
街の人の声ではよく現政権に対する批判を耳にすることが多いです。現与党以外が当選すると言う人も少なくありません。この1つの要因は2013年に起こったマラウイ史上最大規模の汚職事件キャッシュゲート事件が影響していると考えられます。大臣総辞職とまでなったこの事件で現政権に対してダーティーなイメージがあるのだと思います。
また一党独裁のMCPから政権を奪取したUDFですが、第1期1994-1999年は評価されていますが、第2期1999-2004に関しては汚職が目立ったと言われます。2000年にはメルセデスベンツを39台購入して公用車にしたことに対し、最大の援助国であり、旧宗主国のイギリスからクレームがついたこともありました。
この辺りの汚職に対する不満は良く耳にします。政策よりも汚職を優先するのかもしれません。
●世論調査
さて4月28日付けの記事で選挙の世論調査に関しての結果が出ています。(http://mwnation.com/poll-tips-jb-win-vote/)
2つあるマラウイの日刊紙の1つ「The Nation」が報じています。
この結果を下記にまとめます。
- サンプルサイズは3883サンプル。
- PPのジョイス・バンダ現大統領はその内、1609、42%の支持でトップ。
- 以下MCPのチャクウェラ氏が23%、DPPのムタリカ氏は22%、UDFのムルジ氏は10%と続く。
- 南部では1750人の回答があり、その内46%はジョイス・バンダを支持。次はDPPのムタリカ氏で33%、次いでUDFのムルジ氏15%、MCPのチャクウェラ氏は4%。
- 中部はMCPのチャクウェラ氏が42%、PPのジョイス・バンダ大統領は37%、DPPのムタリカ氏14%、UDFのムルジ氏は6%。
- 北部はジョイス・バンダ現大統領が41%、19%がMCPのチャクウェラ氏となっている。
- 今年初めに行われたイギリスの調査会社の世論調査でもジョイス・バンダ大統領が優勢と出ている。
- アルジャジーラの記事にもジョイス・バンダ大統領が勝つだろうという世論調査が出ている。
- 調査はリサーチ・テック・コンサルタンツという会社が行い、同社は来る南アフリカ、インド、モザンビークでの選挙の調査も行っている会社とのこと。
●結論
ここまで過去の政権から現状、世論調査を観てきました。その上で勝つのは現与党であるPP、ジョイス・バンダ現大統領であると言えるでしょう。世論調査の結果がかなり大きく開いています。次点のMCPチャクウェラ氏に約2倍の差をつけています。世論調査の詳細は明かされておらず、信憑性は定かではないですが、この差は大きいと思います。
さらにこの結果が出たこと自体が大きく影響すると思われます。人は誰でも死に票は投じたくないものです。自分の入れた票が価値を持ってほしいと思います。であれば現時点でコテコテに固まってない票は勝ち馬に乗るためにジョイス・バンダ大統領に投票すると思われます。
ということであれば、現政権が今後5年間続くと思われるので大きな混乱もなくこのままの路線でマラウイは安定してマラウイのままであり続けると思います。
かつろう
◆併せて読みたい記事◆
マラウイ大統領選挙2014結果詳細、DPPピーター・ムタリカ氏が勝利。 Vol.96
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コメントの中に
The problem with our politicians in Malawi is that they are all big headed, each one thinks can win an election and be head of state, selfish motive has not benefited ordinary poor villagers.
というのがあり、同感。
マラウィだけでなく。どこの国だって同じです。
また情報提供お願いします。
@ぶち姐
特に途上国の場合は権力欲が強い人が多いですよね。汚職が絡むのも影響していると思います。
単に独裁の国だけではなくて民主主義の国においてもリーダーが独裁的なパターンもあると思います。
5月20日の選挙が日本で報道されるのかは怪しいですが、個人的には結果を楽しみにしています。
こんにちは。
マラウィの選挙の様子は、よほどのことがおこらないかぎり(よほどのこと・・)、
日本に届いていません。
先週から、タイで起こっている政治混乱の様子が
ニュースでとりあげられます。
赤シャツ、黄色シャツというと、タクシン派か否かのイメージが。
タイでこれ以上、混迷が続くと日本企業にとっても、日本にとっても相当ダメージが大きいのでしょう。
マラウィはそういう意味では、タイと比べると遠いのでしょう。
個人的には、アパルトヘイトが終わった20年後の今。
南アフリカの選挙結果の行方を
ウォッチしていきたいです。
初めまして。マラウイOVOPから蜂蜜を日本で輸入販売している業者です。ジョイス大統領が当選する可能性があると言うことですがそうすれば船便が安く日本に輸入できれば嬉しいです。トン単位だとやはり送料はバカになりません。しかし日数が半年以上かかるそうなので、ジョイスパンダ大統領になんとか対策を練って欲しいです。日本には中々入らない情報なのでとてもありがたいです。これからもよろしくお願いします。
南アフリカの選挙は与党が勝利したみたいなので取りあえずは大きな混乱はなさそうですね。
報道は基本的にはその国との関係が深い物事に集中しますよね。
地理的にしろ経済的にしろ。
そういう意味ではこのブログを頑張って日本で報道されない
マラウイの情勢など伝えて行きたいところです!
初めまして、谷口と申します。
ご拝読頂き、またコメント頂き有難うございます。
OVOPの蜂蜜を輸入頂きまして誠に有難うございます。
僕自身は直接は関係していないのですが、
JOCVや専門家の方がOVOPの活動を熱心にされてらっしゃるので自分のことのように嬉しく感じます。
船便だとどうしても日数がかかってしまいますよね。
かといって航空便だとコストが見合いませんし。。
特にマラウイは内陸国なので、港までの輸送費用も掛かってしまいます。
今後マラウイの物流量が増えて、それに比してマラウイの流通コストも下がってくれれば良いなと思います。
報道されないことを発信していきたいと思いますので
今後ともよろしくお願いいたします。