おススメTED その2後編~HIVの感染率と輸出量の関係~ .67

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前回(http://hitonowa.blogspot.com/2013/11/vol66-ted2hiv.html)に引き続き経済学者Emily OsterがTEDで行ったHIV/AIDSに関するスピーチをご紹介します。

前回は平均寿命の短さがアフリカでHIV予防活動が進まないことに繋がっているという内容をご紹介しましたが、今回はHIVの感染と経済(特に輸出)との関連について書きたいと思います。


http://www.ted.com/talks/emily_oster_flips_our_thinking_on_aids_in_africa.html

●輸出とHIV感染率には正の相関がある

アフリカでHIVの感染率を大幅に下げることが出来た政策として有名なのがウガンダで行われたABCキャンペーンです。Aはabstain自制する・禁欲する、Bはbe faithful誠実な・貞節な、Cはuse condomsを表します。
ウガンダでは90年代にこれが行われ感染率が実に15%から6%に落ちたのです。この成功を受けてケニヤやタンザニア、南アフリカもこれに倣った施策を行ったりしています。

ところで、伝染病の研究者はトラックのドライバーや移民の間では感染率が高くなるということを主張しています。船乗りよろしく、トラックドライバーも行く先々で女性を買ったりしていることもあると考えられます。セックスワーカーの感染率が高いことを考えればドライバーの感染率が高く、そしてドライバーが媒介となる可能性が高いと考えられます。交通が集中する所では感染が広まりやすいのです。

実はウガンダのABCキャンペーンと時を同じくして起こったウガンダの経済変化がありました。輸出量の激減です。同国の主要輸出品であるコーヒーが、価格の下落を受けて、急激に輸出量を下げたのです。
HIVの感染率と輸出量は正の相関をたどりました。ウガンダでは、輸出の減少に合わせて感染率が下がった数年後、輸出量が増えるにしたがってHIVの感染も増加していきます。

【緑線が輸出量で赤線が新規のHIV感染数。横軸は経年。上がり下がりが相関している。】

輸出とHIV感染は正の相関を持っているのです。輸出量が2倍増えれば、HIV感染は4倍になるとスピーカーは言及しています。トラックドライバーのことを考えれば特に陸路での輸出の場合大きく関係するのではないかと思います。もちろん相関関係と因果関係は違いますが、両者の間には輸出⇒新規HIV感染の因果関係があると考えられます。
この関係性を知っていれば、輸出と感染の政策を包括的に考えることが出来るようになります。例えば感染率が高い地域への輸出が増大する場合、感染が増えることを考えて事前に対策を打つことが出来ます。

もちろんABCキャンペーンの効果が全くなかったというわけではありません。ただこの政策の効果の内25-50%くらいは輸出量の減少に帰する可能性があるということです。政策の効果が半減するかもしれないという情報を知っていればキャンペーンに投入する金額を他のプロジェクト、(例えば妊産婦死亡率を減らしたら、男子の割礼を推奨したり、)に投入するという選択肢も考えられるわけです。最も効率の良い予算の使い方を考えることが出来るのです。

長期的な視点で見れば、輸出の増大や経済発展は貧困を削減し、HIV感染率を減らすことにいい影響を与えることは間違いありません。しかし短期的に見た場合それがHIV感染率の増加に繋がる可能性もあるのです。

●まとめ

前回は寿命とHIV予防行動の関係について書きました。寿命が短いと死を回避する行動をとるインセンティブが低いということです。言い換えれば他の保健分野、例えばマラリアや妊産婦死亡率等の問題を改善することで平均寿命が延び、HIV予防に対する行動も促進されるということです。
今回は輸出量とHIV感染率が正の相関関係にあるということを見てきました。

これらからわかることはHIV/AIDSの問題を解決するためには単にHIVの事だけを考えていてはだめだということです。他の保健分野や経済分野なども考慮に入れなければならないということです。もちろんHIVに限らず全ての問題にはつながりがあり包括的に取り組まないといけないのだと思います。

そのような包括的な問題解決のアプローチをとる為にはスペシャリストとジェネラリストどちらの力も必要なのではないかと思います。ここを見るには専門的な知見が必要になりますし、全体を見るには国際協力、医療、経済等を統合して見、バランスを取る能力が求められます。

そうだとすると国際協力の分野でもジェネラリストとして、ますますMBA取得やビジネス・マネジメント経験といったものが重視されるようになるのかもしれません。
(参考:【Vol.37 国連で働く上でMBAは価値を持つのか】http://hitonowa.blogspot.com/2013/06/vol37-mba.html)

かつろう

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