青年海外協力隊(JOCV)としての第一の壁 .69

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“仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。”-電通鬼十則より

●“何をやっていいのかわからない”という壁

青年海外協力隊(JOCV)としてマラウイに来て3か月が経とうとしている。内1か月は現地語の訓練やマラウイのブリーフィング等で、配属されてからは2か月が経過しようとしている。

今現在僕自身とても悩んでいる。ドツボにはまっているような感じだ。恐らく多くの青年海外協力隊員がはじめ同じような壁にぶち当たるのではないかと思う。
“何をやっていいのかわからない”という壁だ。

●僕が活動している組織の背景

背景を少し書きたいと思う。
僕はPSI(Population Service International)/Malawi<http://www.psi.org/>というワシントンDCに本部のあるアメリカのNGOのマラウイ支部に所属している。同NGOはコンドームや蚊帳、経口補水液等の販売や配布、母子保健やマラリアに関するプロジェクト、HIVの啓発活動などを行っている。オフィスは首都のリロングウェ、第一の商業都市ブランタイヤ、北部の拠点ムズズ、東部の拠点マンゴチに4地点にあり、職員は約200人だ。

同NGOはとてもしっかりした組織構造を持っている。例えば監査に関してはPSI/Malawi内部にも監査をする部門があり、不正な取引などをチェックしている。そしてその監査部門を監査する東アフリカ地域の監査部門があったりする。

僕はマーケティングという職種で配属されているのだが、マーケティングに関しても本部のワシントンから人が来てマーケティング手法のワークショップを行ったり、随時プランニングのアドバイスなどを行ったりしている。

WEB上にはPSI職員のみがログインできるPSI universityといった学習サイトもある。このようにとても組織基盤が整っているのだ。

そして大学・大学院を卒業したマラウイの優秀なエリート達が働いているのだ。(マラウイは学問は実力社会で、本当に優秀で選ばれた人しか大学に入学できない)。もともとイギリスの植民地だったということもあって英語も堪能だ。

つまりとてもしっかりとした基盤をもっており、とても優秀な同僚たちがいる組織に配属されているのが背景だ。

●決まった仕事があって配属されているわけではない

僕はマーケティングという職種なのだが、それに関連する部門が三つ存在する。セールス(保健衛生製品の販売と配布を担当)、リサーチ(製品やキャンペーンに関する各種情報収集や分析を行う)、コミュニケーション(広報的な仕事を担当)だ。僕はこの中でも特にコミュニケーションという部署に配属されている。もちろん今後変わる可能性もあるのだが、取りあえずはそこに籍を置いている。

しかし特に決まった仕事が用意されているわけではない。今まで僕がいなくても仕事が回っていたのだから当然と言えば当然だ。何かのポジションが空いてそこに僕が入るというわけではなく、現状で仕事が回っている上に僕が入るという状況なのだ。
僕の場合は迎えてくれる人がいてくれて、組織があるだけましかもしれない。案件によっては赴任してみたらその組織自体がなくなってしまっていたということもあったとか。

そうして今、“何をやっていいかわからない”という状況に陥っているのだ。

●仕事を創りだす為にまず必要なのは状況や背景の理解

この“何をやっていいかわからない”という状況には二つの側面がある。
1つは上記で書いたように組織側として与える仕事がないという側面、もう1つは僕自身が何をすべきかを気づけていない、仕事を創りだせていないという側面だ。

前者に関しては自分ではどうしようもないので、後者をなんとかするしかない。つまり何をやっていいかわからない状況においては、自分で適切な仕事を創造するしかないのだ。

しかしこの仕事を創りだすということが、今現在上手くいっていない。日本にいた時は比較的この手のお題は得意だった。やることがばくっとしか決まってなくて後は自由にやっていいという状況において、背景を理解し、目標を決めて、戦略を作り、戦術に落とし込んでいく。大学の頃からこういったことに関する着想は比較的わきやすい方だった。しかし今マラウイであまりこの着想・発想・発現といったものが起こらない。何かスランプにおちいったかのように、得意だったことが出来なくなってしまっている。

では何故今、仕事を創造するということに関して現在このようなスランプに陥っているのか。それは仕事を創造する為にまず第一に必要な背景状況の理解が出来ていないことが大きな要因だと思われる。詳細にすると以下の4つが欠如していると考えられる。

1、語学能力(英語能力)の欠如
2、マーケティングに関する見識の欠如
3、マラウイという国に関する見識の欠如
4、PSIという組織やINGOに対する見識の欠如

1、同僚は皆英語に堪能で、会議などでは全くついていけない。会議だけでなく会話でも必然的に様々な情報の欠如に繋がる。話の論旨を理解できないから発言も出来ないし、日々のコミュニケーションの中でも劣等感を感じてしまっている。また例えばブランドコンセプトといった話になると英語の言葉のニュアンスまで理解していないといけない。例えばuseとutilizeやtrustとcredible, confident といった言葉の意味ではなくニュアンスの違いを理解していないといけない。

2、僕は以前BtoBの営業の仕事を行っていたので、セールスや営業エリアに関するデータ切り方、プロセスの管理などに関してはある程度の経験あるがBtoCの広報といった分野に関しては素人も同然だ。

3、またマラウイという国の状況や人間性に関してマラウイアンより深く洞察するということは不可能だ。例えば販売チャネルとしてどこが適切か、カスタマーの定性的な分析を行う時の行動など、マラウイアン以上に考えたりすることは難しい。

4、NGOというのは個別の色々なルールや前提やユニバーサルなNGOの知識といったものが存在する。略語も多い。そういった前提や知識がないと文脈を理解できない。

全てを完璧にすることは難しいが、それぞれの欠如を補って、背景をつかんでいけば徐々にこのPSI/Malawiに対して自分のやるべきことが何かということが見つけられるようになるのではないかと思う。

●焦らずにゆっくりやっていこう。

しかしこの2か月冷静に現状を分析して、落ち着いてこれらの補うような努力をきっちりとしてこれなかった。それはなぜか。

焦りと劣等感から来るストレスを感じて、悪循環に陥っていたからだと思う。1か月もたつのに大した活動を出来ていない。2か月もたつのに英語もまだまだ理解出来ない。英語の出来なさが大きな劣等感に繋がり、人に積極的に話かけられず、会議でも発言をためらってしまう。焦りと劣等感のストレスをいいわけにして英語の勉強や資料の読み込みをおろそかにしてしまう。おろそかにしてしまうと、結局現状が良くならずにまたストレスを感じてしまう。というような悪循環に入っている。

これを抜け出す為にまずは今の現状を認識して、受け入れることが大切だと思う。出来ない自分を受け入れよう。少なくともあと3か月は仕事らしい仕事なんて出来ないだろう。英語能力を挙げて、各種状況理解や、情報収集に努める期間として設定しよう。焦らずにゆっくりとやっていこう。ストレスを極力すくなくして、その分を精進するエネルギーに変えていこう。

まずこの“何をしてようかわからない”壁をぶち破ろう。焦らずに。
2014年のまず第一の抱負。

かつろう

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“青年海外協力隊(JOCV)としての第一の壁 .69” への2件の返信

  1. カツカツさん、おひさしぶり。カツカツさんのブログに触発されて、マラウィを知るための45章を福島大学から借りてきました。(NTCのは誰かが借りていたから・・・)、マラウィを知るための45章よりも、カツカツさんの分析のほうが、現実を分析されています。「貧しい理由」の続編をまた記事に残してほしいなぁ。

    ところで、私のヨルダンライフ。
    活動の9割は失敗。1割はまぁまあうまくいったかなぁ・・・。
    そんなこんなですが、神奈川→ジンバブエ→ヨルダン→福島→・・・とつながってきました。
    また、どこかでお会いして、いろいろとお話ができたら。

    こちらは、生涯浪人ぶっちぃ版。私はビジネスではなく、
    国際協力×教育×アフリカ なんですよ。↓
    http://kazitabonita.blog133.fc2.com/blog-entry-190.html

    ではでは。
    ぶち姐

  2. こんちは! そういって頂けると本当に励みになります。切に有難うございます。頑張って続編も書けるようにします!

    9割失敗ですか。。なかなかタフですね。
    僕自身もなかなか突破口が見つからない感じです。

    海外から、地域へと住まいや気持ちが
    移って行かれた経緯がとても気になります。
    僕自身もやがては日本の田舎に住むのでしょうか。

    姐さんも生涯浪人なんですね笑
    教育は長期的、根本的な進歩には必ず必要ですよね。

    二本松では本当に日々ドタバタで
    落ち着いて話す機会もなかったので
    日本に帰りましたら是非ゆっくりと
    語り明しませう!

    風邪には気をつけて下さい?

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