からゆきさん Vol.28

皆さんは“からゆきさん”という言葉を聞いたことがあるだろうか。
漢字で書くと唐行さんとなり、19世紀後半に東アジア、東南アジアに渡って娼婦として働いた日本人女性のことらしい。唐は中国をさすのではなく外国を指している。

農村や漁村などの貧しい家庭の娘たちが連れて行かれたようだ。中には海外で奉公させるといって連れて行ったこともあるようで、場合によっては騙されるようなこともあったのかもしれない。

やがて国家の恥として批判されるようになり、1920年は廃娼令がだされ、海外の日本人娼館は廃止されたとのこと。その後1972年に『サンダカン八番娼館』が出版されるまでは戦前の恥部として一般に知られることは少なかったらしい。

学校で学ぶ歴史の中ではこのような負の側面は卑下され、見えなくなってしまうことが多い。国としてはありのままの歴史を伝えるべきだし、個人としてはフラットに選り好みをせずに自発的に勉学をし、直視すべきだ。

カンボジアやインドでこのような人身売買が現在でも存在している。例えばバングラディシュや隣接するインドのウェストベンガル州、ネパールなどからインドのムンバイに売られたりすることがある。もちろん同国内での売買もある。

またインドはそういった問題、つまり恥部に関して他国が干渉することに関して快く思わないこともあるようだ。ODAも積極的に受容する姿勢はなくなっている。

ややもすると現在途上国で発生している貧困や人身売買などの各種問題は彼ら彼女らのみが経験している問題と考えてしまいがちである。しかしそれは日本も経験してきた問題なのだ。戦後はエロア・ガリオア資金の提供を受けたし、ケア物資にも助けられた。政府からも民間NGOからも助けられたのだ。人身売買にしろ貧困にしろ、日本にとってつい100年以内の出来事なのだ。

やがて途上国においても今の日本のように、そういった問題の実感がなくなるような時代がくればよいなと思う。もちろん記録、記憶としては残して受け継いでいかないといけないが。

かつろう

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参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%86%E3%81%8D%E3%81%95%E3%82%93

写真の出典:生活情報センター「100年前の日本」より。

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