AIDA、ビジネスフレームワークの国際協力への応用 .113

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●AIDAとは

今回はビジネスフレームワークの1つであるAIDAの国際協力業界への応用について書きたいと思います。私自身、一応マーケティングという職種で派遣されているのでたまにはビジネスよりのことも書きたいと。

AIDAとはAttention, Interest, Desire, Actionの頭文字で、広告に対する消費者の購買の心理プロセスを表すフレームワークです。まずは気付いて知って(Attention)、次に興味(Interest)をもち、そしてそれを欲しいと思い(Desire)、最終的に購買という行動(Action)に移すわけです。
Attentionを認知段階、Interest/Desireを感情段階、Actionを行動段階と区別します。AIDAの流れといい、この3段階の分け方と言い、直感的に腑に落ちるフレームワークです。フレームワークや理論はまずは直感的に納得できるかということがとても大切だと思います。
またMemoryという言葉を入れてAIDMAという風にも言われます。ウィキペディア先生によるとネットでの購買プロセスにおいては電通の提唱したAISAS、Attention, Interest, Search, Action, Shareという枠組みもあるみたいです。確かにこのフレームワークも使えそうです。
ウィキペディア:AIDA
●AIDAの応用
さてこのAIDAを国際協力業界にも応用して使うことが出来ます。広告の場合だと、1つの広告でAIDAのアクション、行動段階までいかに持って行くかということが焦点になるかと思いますが、今回は人の行動変容を全体として捉え、段階的に目的の行動変容まで持って行く流れとしてAIDAを使います。
例えば私は保健関係の製品を販売するNGOにいます。扱っている一つの製品がコンドームになります。男性用、女性用の双方のコンドームを扱っています。

◆男性用コンドームへの応用

マラウイにおいて男性用コンドームを使用していない人はAIDAを使って考えると人はどの段階にあると言えるでしょうか。Attention、認知の段階はクリアしていると言えます。政府やNGOが長きにわたってキャンペーンを繰り返してきたので男性用コンドームの存在や知識に対してある程度はあると言えます。InterestとDesireの感情段階で止まって、行動まで持っていけてない人が多いと思います。
であれば、男性用コンドームは認知されてはいるので、それをいかにして使いたい(Desire)と思わせて行動まで持って行くかということを念頭に置いたコミュニケーションを取る必要があるということになります。例えば男性用コンドームを使うことがカッコいいことで、大人の良識ある男はコンドームを使うというような内容の店頭ポスターを展開する等です。

◆女性用コンドームへの応用

女性用コンドームに関してはどうでしょうか。AIDAを使って考えると、まず第一のAttention、認知が問題ではないかと考えることが出来ます。日本でも女性用コンドームについて知識を持っている人は少ないのではないでしょうか。マラウイではなおさら知らない人がほとんどだと想定出来ます。
であれば、女性用コンドームはまずは認知を広める段階から包括的にキャンペーンを展開することが必要になります。もちろん認知だけではだめなので感情段階、行動段階まで持って行くようにデザインする必要はありますが、入口は広い認知を得るというところから始める必要があります。
例えばまずはラジオを使って各家庭レベルで認知を広める所から始め、次に実際のワークショップを開くことで使い方や効果を知ってもらいます。この認知段階を経て、街中の薬局やサロンの店頭のポップやステッカー、ポスター等で感情段階⇒行動段階にまで持って行くような包括的なアプローチを考えることが出来ます。もちろん一つの広告やコミュニケーションで認知⇒感情⇒行動という流れに持って行くことが理想ですが、保健医療製品の場合は行動変容が必要になるので、単純な一つのコミュニケーションでこれを達成することはかなり難しいと言えます。包括的に時間をかけて徐々に認知⇒感情⇒行動という風に持って行く必要があると思います。

●様々なビジネスフレームワーク応用の可能性

ビジネス業界には経営、マーケティング、仕事の仕方、考え方など様々なフレームワークがあります。PDCA、ミッシー、ペルソナマーケティング、3C、4P、SWOT、ファイブフォース、プロダクトポートフォリオ、ゲーム理論、等々。
これらのフレームワークはビジネスだけでなくて、国際協力、NPOやNGOといった非営利組織の活動にも応用出来ます。経営学やMBA出身者が今後もっともっと非営利業界に入ってこれば、どんどんこの業界は良くなるなと感じます。

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