青年海外協力隊って給料もらえるの?その2~事業仕分けによる手当削減~ .74

給与を表す硬貨

 

前回のブログでは青年海外協力隊がもらっている手当について書きました。
【⇒Vol.73 青年海外協力隊って給料もらえるの?いくらなの?~協力隊の懐事情~
※協力隊がもらっているお金は給料ではなく、現地生活や帰国後に必要な手当です。

簡単にいうと現在の協力隊への手当は現地の生活費や住居費は負担してもらえて、その上で日本の口座に200万円が貯まっているという内容です。

さてその青年海外協力隊がもらっている手当ですが、
実は2010年の事業仕分け(http://www.jica.go.jp/information/info/2010/20101117_01.html)で削られました。2010年に行われ、2011年度の予算に反映されています。そしてそれと時を同じくして応募者も激減しました。協力隊に参加してもらえるお金が減ったから応募者も減ったというのが妥当な因果関係に思えます。事業仕分けによって予算が減り、隊員への手当がへり、結果として応募者数も減ったわけです。

果たしてこの事業仕分けによる予算削減は良かったのでしょうか。今回はそれを考えたいと思います。

●予算削減の内容

まずは隊員への手当が事業仕分けによってどのように減ったかを見ていきたいと思います。訓練

・期間中国内手当(本邦支出対応手当)
(事業仕分け前) 50000円×2か月
⇒(事業仕分け後) 40000円×2か月
削減額20000円=10000円×2か月

・国内の積立金
(事業仕分け前) 99700円×24か月
⇒(事業仕分け後) 85000円×24か月 ※85000円は最大額。条件により変動。
削減額352800円=(99700円-85000円)×24か月

・移転料
(事業仕分け前) 175000円~246500円
⇒(事業仕分け後) 87500円~123250円 ※半額
削減額:105375円=(87500円+123250円)÷2
(取りあえず削減額の最大と最少の真ん中にしました)

・支度料
変動なし。90000円。

・着後手当
(事業仕分け前) 129000円~214000円
⇒(事業仕分け後) 0円
削減額:171500円(取りあえず129000と214000を足して2で割った真ん中の額にしてみました)

さて削減された手当を合計してみます。
20000円+352800円+105375円+171500円=649675円
約65万円の手当削減になります。

前回算出した現行の手当が約355万だったので、事業仕分け前はこれに65万円を足して420万円もらえていたという計算になります。事業仕分け後、任国へ出発前の市町村への表敬訪問の交通費も、支給制限が加えられたりしたので、恐らくここには計上されていない各種日当や手当なども削減されている可能性が高いと考えられます。

●応募者の激減

さて要請数・応募者数・合格者数の推移をみていきたいと思います。

応募者数は2007年、2008年、2010年まではだいたい4000人前後で推移していました。

2009年は4752人と数が増えています。その原因は2008年のリーマン・ショックにあるのではないかと思います。2008年当時私は就活をしていましたが、その時の就職活動の冷え込み方は凄まじいものがありました。確かリクルート・エージェント等は採用活動を中断した記憶があります。私が就職した会社も採用人数を5~6分の1に絞っていました。2008年にそのような流れが始まったので、新卒の就職活動生はもとより、第二新卒、中途採用で例年以上に就職出来ない人、または思った就職が出来ない人が増えてその人たちが青年海外協力隊を応募したのではないかと思います。

そして事業仕分けが行われた2011年に2971人と前年の4061人に比べて1000人以上も減少しています。2012年度もさらに減少を続け2674人となっています。充足率(要請に対して派遣できている割合。合格者数/要請数)もついに2011年度に50%を割り込み、2012年度は38%とかなり落ち込みました。

この応募者数の減少は、先に挙げた手当の削減が一番の原因だと私は考えます。東日本大震災の影響も考えられますがあまり大きな要因ではないように思われます。ボランティアに行く人が協力隊ではなくて、東北に行ったという仮説が成り立ちますが、そこまで大きな影響はないのではないかと思います。東北にボランティアに行った人の多くは短期・中期で2年間にわたる長期の人は少ないでしょうし、2年間にわたる長期の人であったとしても、東北に行く人と協力隊に行く人の属性はそこまでかぶっているようには思われないからです。人の為に役に立ちたいという気持ちは変わりませんが、東北なのか、途上国なのかという点で大きな違いがあるように思われます。

●事業仕分けによる手当削減は良かったのか、悪かったのか

2010年の事業仕分けによる手当削減は果たしてよかったのでしょうか、悪かったのでしょうか。
私は悪かったのではないかと思います。その理由は下記です。重複する部分もありますがざっと書いてみました。

・途上国への貢献度合いが小さくなり、それはまた外交的・経済的な損失に繋がる。

応募者数が減り、必然的に合格者数が減り、そして必要とされている案件を満たせる割合が減ったことは単純に途上国への貢献度合いの減少ということだと思います。もちろん日本の税金は前提として日本の為に効率よく使われるためのものです。そう考えると財政が厳しい中、途上国の支援を減らすことは妥当とも取れます。ODA関係の予算削減と国家財政の数字などを見なければ何ともいえませんが。
しかし支援するということは単にお金や資源、技術を渡すということではありません。それによってその国との関係をよくし、外交を円滑に行えるようになります。また、その国に経済進出するための足掛かりや情報、人材の損失に繋がると思います。
アジア、アフリカの途上国が外交上も経済上もこれからますます重要になってきます。その時に現場の最前線に入り込む協力隊を減らすということは大きな損失だと考えられます。

・青年海外協力隊員の質の低下

2010年は応募者数4061人、合格者1084人で倍率が3.74倍です。
2011年は応募者数が2971人、合格者数が887人で倍率が3.34倍。
2012年は応募者数が2674人で合格者数が915人で倍率が2.95倍。
単純に数字だけを見て判断することは出来ませんが、倍率が高い方が優秀な人材を確保できる可能性が高くなるのではないかと思います。例え充足率が同じであったとしても、その倍率が低くなることで、つまりハードルが下がることで協力隊員の質が低下する可能性があります。それは途上国への貢献度合いを少なくすることにもなり、日本への貢献度合いを少なくすることにもつながります。

・日本の若者の育成へのマイナス

青年海外協力隊は途上国への貢献という意義を持つ反面、日本の若者の育成という側面も持っています。隊員は言語や文化の違うコミュニティに飛び込むことで様々な困難を経験し、それに対処するのです。それは帰国後、日本という国に還元される経験となります。それは帰国後日本の社会を良くすることに繋がると信じています。また途上国のプレゼンスが高まる現在、途上国を知っている人材の育成という観点からも貴重な制度です。

●まとめ


基本的に私は給料や手当削減による予算削減施策に反対の立場です。国会議員や公務員の給与削減にも反対です。そもそも国会議員も公務員ももらいすぎていると思っていません。とても大変な仕事だと思います。

(http://katsurotaniguchi.com/cambodia-corruption/)

給与削減によって、その仕事を行う人のモチベーションが下がり、また新しくその仕事を行う人の質も下がると考えます。

青年海外協力隊事業はとても素晴らしい可能性を秘めている事業だと思います。途上国のプレゼンスが高まる昨今でこの事業は日本の起爆剤になり得ると思います。単純に手当をあげることには賛成しませんが、様々なやり方によってもっと多くの日本の若者が青年海外協力隊に応募し、合格し、現地にそして日本に貢献を出来るように仕組みや待遇、制度を整え・改善することは必要なことだと思います。

参考HP

※青年海外協力隊は税金で運営されているという性格上、情報公開の義務があると考えております。

かつろう

 

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コメント

  1. ぶち姐 より:

    隊員になる前、教員をしていました。
    教員は給料をもらいすぎているという世論に
    悔しい思いでいっぱいでした。

    「給与削減によって、その仕事を行う人のモチベーションが下がり、
     また新しくその仕事を行う人の質も下がると考えます」

    かつろうさんの記事を読み、
    たちどまり、考えるきっかけとなりました。
    ありがとう。

  2. 谷口香津郎 より:

    世論って取りあえず何事に対しても批判的ですからね。。
    教員の方は土日も満足に休めない仕事で大変なのに
    給与ももらいすぎという論調は間違っていると思います。

    しっかりと頑張っている方は
    とても歯がゆい思いをされているのだろうなと感じます。

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