マラウイ大統領選挙2014結果詳細、DPPピーター・ムタリカ氏が勝利。 .96

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今回は2014年5月20日に行われたマラウイの大統領選挙の結果について書きたいと思います。
結論からいうとDPPのピータームタリカ氏が勝ち、新大統領となりました。2014年5月30日にMEC(マラウイ選挙委員会)によって発表されました。

 

以前ジョイス・バンダ氏が勝つという予想の記事を書いたのですが見事に外れました。。(マラウイの次期大統領は、現ジョイス・バンダ大統領で決まり?マラウイの大統領選挙情報 Vol.81).世論調査をベースに予想したのですが、途上国の世論調査はやはりあまり信用できないと痛感しました。

●選挙結果

結果をまとめると下記のようになります。
DPP   1,904,399 (36.4%) Peter Mutharika
MCP   1,455,880 (27.8%) Lazarus Chakwera
PP      1,056,236 (20.2%) Joyce Banda
UDF    717,224  (13.7%) Atupele Muluzi
DPP(Democratic Progressive Party)、MCP(Malawi Congress Party)、PP(People’s Party)、 UDF(United Democratic Front)
選挙人登録数     7,475,806 ※選挙人登録数とは事前に登録をして投票権を得た人の数。
投票数          5,288,258
投票率          70.78%
無記名、無効票    56,675(1.07%)
勝利を収めたのは前与党DPPのピーター・ムタリカ氏でした。与党PPのジョイス・バンダ氏は倍近くの票差で3位に。2位のMCPは1994年以来の政権への返り咲きを狙いましたが惜しくも敗れました。
第5代大統領となったピーター・ムタリカ氏は故ビング・ワ・ムタリカ第3代大統領の弟です。マラウイ史上初の兄弟大統領の誕生となったわけです。

●選挙分析

マラウイ選挙管理委員会(Malawi Electoral Commission: MEC http://www.mec.org.mw/)が各県ごとの候補者の結果を発表していますので、そのPDFファイルをエクセルに落としてピボットなどで集計してみました。しかし元のMECのファイルの中でコタコタ県、ムジンバ県においての各党の合計数が合わないので数値が少しずれるところもありますがご容赦下さい。というか選挙管理委員会の最終発表の合計数値くらいあわせてくれーって感じですね。。(コタコタ県については総投票数が12万票のはずなのに、各党の票数を合計しても約8万票にしかならない。4万票は何処に消えたのやら。。)

・地域別得票数の分析

マラウイは北部、中部、南部と3つの地域に分けることが出来ます。今回のそれぞれの投票数を見てみます。北部792836票(15%)、中部2105725票(40%)、南部2289422票(44%)となりました。これは人口も中南部に集中しており中部と南部が重要になってくるということを表します。では今回各候補がそれぞれの地域得た票数をみたいと思います。

北部 DPP 173,119(21.8%)     MCP 136,737(17.2%)        PP 446,151(56.3%)   UDF 21,264(2.7%)
中部 DPP 432,550(20.5%)     MCP 1,220,125(57.9%)   PP 281,751(13.4%)   UDF 138,769(6.6%)
南部 DPP 1,298,432(56.7%)  MCP 67,013(2.9%)          PP 334,574(14.6%)    UDF 540,963(23.6%)

※%は政党獲得票/各地域の総投票数

与党であったPPは北部では56.3%と大きな支持を集めました。これはばらまき政治を行ったことが影響していると思います。ジョイス・バンダ前大統領は牛をただ単に農家に配ったり、家を建てたりといった物量ばらまき作戦を展開していたので北部といった田舎の地域にはうけたのだろうと考えられます。また副大統領候補指名のゴタゴタで南部の票を失うことになりました。これはもともと副大統領候補になるはずだった南部出身議員がいたのですが、ジョイスバンダ大統領が選挙直前で副大統領候補に彼を指名せず、彼としては裏切られた形になりました。結果として彼が公然とDPP支持に回り、PPの南部の票がDPPに流れたということがあったのです。

中部ではMCPが122万(57.9%)を超える票を集め圧倒的な強さを誇りました。対して南部ではDPPが129万票(56.7%)を集め圧勝しました。今回の選挙で勝敗を分けたのは、相手の地域でどれだけ票を伸ばせたかということに集約されます。勝利したDPPはMCPの本拠地の中部で432,550票(20.5%)を集めました。対してMCPはDPPの本拠地の南部で67,013票(2.9%)しか集めることが出来ませんでした。南部はDPPの本拠地であり、またPP、UDFのジョイス・バンダ前大統領とムルジ候補はマンゴチ辺りに多い南部勢力の1つヤオ族出身でもあります。その南部をMCPが切り崩すのは難しかったと言えます。北部ではDPPとMCPにそこまで大きな差はついていません。

総じると下記になるかと思います。もともとPPは選挙で勝利した政党ではなく、DPP大統領ビング・ワ・ムタリカ氏の死によってジョイス・バンダ副大統領が繰り上がりで大統領になったのでそもそもの支持基盤は強くなかった。その上でキャッシュゲート事件という多いな汚職事件が2013年に起こった。ジョイス・バンダ大統領はそれを払拭するためにも牛や家、メイズといった現物支給のばらまき政策を行った。北部出身議員を副大統領候補に立てたこともあり北部の票獲得には成功した。しかし中南部では票を伸ばすことが出来なかった。一方DPPは南部という支持基盤を盤石にした上で、中部にも切り込むことに成功し、勝を手に入れた。MCPは南部の切り崩しをすることが出来なかった。

UDFについても触れておきます。候補のアトゥペレ・ムルジ氏はイスラム教徒です。彼のお父さんバキリ・ムルジ氏が2代大統領となりました。バキリ・ムルジ氏が1994年、MCPの長期独裁政権に終わりを告げたのです。その際はとにかく変革をアピールして勝ったのです。国民は30年に渡る独裁政権にうんざりしており、新しい自由が欲しかった。その期待に応える形で当選したのです。彼のお父さんもイスラム教徒でしたが、この国民の波にのりました。マラウイではキリスト教が80%以上を占めます。イスラム教は10数%です。そんな中でイスラム教徒の候補が当選することはなかなか難しいと言えます。もちろんマラウイでは宗教対立はありません。しかし自分と同じ宗教の人を支持したいというのが人の心だと思います。マラウイ人から、この候補は敬虔なキリスト教徒だからよいという話を聞くこともありました。ちなみにジョイス・バンダ大統領も、もともとムスリムの家庭に生まれたのですが、のちにキリスト教に改宗したようです。

・投票率


投票率(総投票数/選挙人登録数)は全体では70.78%となりました。日本等に比べると高いと感じられるのではないでしょうか。また地域別に見てみると北部が選挙人登録数1026245人中797809人投票の77.7%、中部が3135098人中2169076人投票の69.1%、南部が3309463人中2318393投票の70.0%でした。北部は開発が遅れている田舎です。田舎の方が投票率が高くなるという結果になったと言えます。

またある種この投票率は低いと考えられます。マラウイの人は基本的にあまり生活や仕事に縛られないので自由に投票に行く時間があるはずです。選挙期間は職場が休みになることも多いです。私の職場も休みになりました。ではどうして選挙人登録ではわざわざ登録しに行くのに、本選挙では投票しにいかないのでしょうか実は選挙人登録に行く際にお金がもらえたりするのです。選挙人登録は大々的に行われさながらパレードのようになります。人々が徒党を組んで、応援する政党の色を身にまとい登録をしにいくのです。これは各党にとっては自らの政党の勢いを示す機会になります。500クワチャ(約100円)をもらって選挙人登録のパレードに参加する人がいるのが実情です。もちろん彼らの中には大して選挙に熱が入っていない人もいるので投票しない人が出てくるというわけです。

写真は選挙人登録に向かうPPの支持者です。プロジェクトで南部に言っていたのですが、道路が一杯でしばらく立ち往生せざるを得ませんでした。

・その他の出来事

・選挙前の3月16日、南部のチョロで選挙に関わる騒動発生。市民が警官によって射殺され、その警官も撲殺される。
・投票が1日で終わらず結局3日続くことになった。
・4000か所以上ある投票所の内、58か所で投票数が選挙人登録者数を上回るというイレギュラーが発生。
・それを受けてジョイス・バンダ大統領(当時)が選挙の無効・やり直しを宣言。高裁により否決、選挙管理委員会(MEC;Malawi Electoral Commission)も不正はないとの見方を占める。
・投票後与党PPが劣勢との情報が出、PPの副大臣が自殺。政権が変わることによるキャッシュゲート事件の追求を恐れたのか。
・UDF支持者による再集計を求めるデモで市民2名が死亡。

何れにせよ大きな暴動がなく、選挙が終わり政権が移行されて本当に良かったです。ちなみにマラウイの青年海外協力隊員は、国外退避に備えて全員が首都リロングウェのコリアンガーデンというロッジに集まっていました。リロングウェ隊員は自宅待機でした。終日家やロッジから外出禁止の日が何日もありました。

色々と経験を出来、5年に一度の大統領選挙がある時期にマラウイにいられて良かったなと感じます。

また今回作成した選挙結果を落とし込んだエクセルが必要な方がいらっしゃればブログにコメントして頂くか、フェイスブックでご連絡頂ければ差し上げますのでお気兼ねなく仰って下さい

かつろう

◆併せて読みたい記事◆

マラウイの次期大統領は、現ジョイス・バンダ大統領で決まり?マラウイの大統領選挙情報 Vol.81

:参考リンク

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コメント

  1. ぶち姐 より:

    かつろうさん、こんばんわ。
    マラウィの選挙について、かつかつ日記でとりあげていたおかげで、
    わりと身近に感じています。

    事務所長も、「元気なアフリカ 7月号」マラウィ版のなかで、発信されていました。
    元気なアフリカ マラウィの選挙は以下の通りです。
    マラウイ総選挙が混迷の中で終結
    5月20日、5年に一度の大統領選挙が開始。今回は、マラウイ史上初、大統領・国会議員・県会議員の同時選挙が実施されました。投票は大きな混乱もなく終わりましたが、一部で登録者を上回る投票があったことが発覚し、選挙管理委員会や裁判所を巻き込んで対立する政党間で大議論が勃発。バンダ大統領からは再選挙を求める声明までが出ました。結局、公表期限である5月30日の午後11時過ぎに開票結果が発表され、野党DPPのピーター・ムタリカ候補が大統領に選出されました。ピーター・ムタリカ大統領は2年前、任期半ばで死亡したビング・ワ・ムタリカ大統領の実弟であり、当時副大統領であったバンダ大統領との確執があったことから今後の動向が注目されます。
    ではでは。ぶち姐

  2. 谷口香津郎 より:

    マラウイの選挙、身近に感じて頂けたならとても嬉しいです!マラウイのことを知ってもらうのも記事を書く同期の1つなので。

    バンダ大統領が就任する時は相当もめたらしいですから、確執もかなりあると思います。

    話変わりますけどついにワールドカップですね!

  3. ぶち姐 より:

    ワールドカップイベントに参加しました。
    アフリカでサッカーの強豪国は、西アフリカに多いですね。
    (仏語圏アフリカに携わる私としては、ちょっとうれしい!)

    コートジ、がんばれ!

    記事は、2010年前回のワールドカップ、南アフリカでの開催。

    http://kazitabonita.blog133.fc2.com/blog-entry-6.html

  4. 谷口香津郎 より:

    日本、残念でしたね。。。4年前から変わらずブログ書き続けてらっしゃるのは、まさに継続は力なりという感じですね~次のワールドカップの時までも変わらず書き続けて下さい!
    アフリカの国が優勝すると嬉しいですね!

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