NPOは『借り物競争』 .10

お世話になっている方に『NPOは借り物競争』という言葉を教えて頂いた。
資金を借りるということは企業でもNPOでもあると思う。
しかしNPOは他にも様々なものを借りるのだ。

●ヒトを借りる

ボランティア、インターン、プロボノといったリソースの活用があげられる。
ちなみにプロボノというのは社会人が自らの専門性等を使用して社会貢献活動を行うことを指す。
企業であれば雇用関係にあるものによって活動することが前提だが、NPOは場合によってはそういった無償のリソースが大きな支えとなることも多い。

●モノを借りる

例えば会議スペース等を無料で貸して頂いたり、必要な資材やものを課して頂いたり、寄付頂いたりすることもある。また場合によっては事業を行う土地までをも無償で提供頂いたりすることもある。

●カネを借りる

近年注目されているのがベンチャーフィランソロピーという考え方だ。
社会的企業・組織に対して、資金や経営の支援を行う考え方だ。今までの投資と違うところは、
投資の見返りとして金銭的な利得を求めるのではなくて、社会の便益を求めるところだ。
まさに社会を良くする為の投資手法なのだ。
このような手法で資金等を集めることは社会的な企業・組織ならではと言える。

●情報を借りる

人を借りるということに通じる部分もあるが、NPOは様々なことについてアドバイスをもらったり
専門的な知見をもらったりすることも多い。
例えばアドバイザリーボード等を編成し、様々な分野の専門家から経営の相談をしたりする。
そこから知識・情報を拝借するのだ。

●手法を借りる

企業であれば事業のノウハウや構造・システム等、基本的には秘匿をすることが多い。
それは自社の利益を守るためだ。しかしNPOは事業のノウハウを公開することが多い。
むしろ積極的にスケールアウトを行って、問題解決を加速させる場合が多い。
それはまさに手法そのものを借りるということだ。

NPOは企業体が事業を行うのに必要不可欠であるとされるヒト・モノ・カネ・情報といった
リソースだけでなく、事業そのもののシステムまでをも借りることが出来る。

では何故企業は借りることが出来なくて、NPOは借りることが出来るのか。
それは組織としての存在意義の違いにあるからではないか。
企業の存在意義の大きな一つに自社の利益の最大化(株主への責任)という考え方があると思う。対してNPOが存在する意義は社会問題の解決にある。極論を言えば、そのミッションとする社会問題が解決して、組織としての存在意義がなくなって解散することが最も理想とする状態なのである。社会問題が解決出来れば、どの組織が行おうと全く問題ないのである。そのような違いがオープンに様々なことを借りることが出来るかどうかの違いに繋がっていると思う。

個人においても同じことが言えると思う。例えばあるアイディアを持っていたとしてそれによって自らのみが利益を得ようと考えていたとすると人には協力を求めずに内々にことを進めるだろう。しかしそれによって起こる社会的な便益を求めるのであれば色んな人にアイディアを共有してフィードバックをもらっていくだろう。後者の方がそのアイディアの成功確率も高くなるはずだ。恥ずかしながら私はどちらかというと前者よりの人間だった。それを指摘して頂いて、今は後者の考え方を取れるようになった。

つまるところ何を行うにせよ、社会的な利益と個人・組織としての利益を最大化出来るような形を取れればとても良いと思う。

かつろう

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