5Sとインセンティブ~マラウイの医療現場の問題点~ .62

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●5Sとは

皆さんは5Sという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
元々は工場や職場などを綺麗に保ち、仕事の効率を挙げる為に作られたスローガンです。日本のみならず海外でも下記のように訳され使われることがあります。

整理-(Sort)
いらないものを捨てたり、区分したりすること。

整頓-(Set)
所定の場所におき、いつでもすぐに取り出せるようにすること。set in order.

清掃-(Shine)
綺麗に掃除をすること。輝くくらいに綺麗にすること。

清潔-(Standardize)
整理、整頓、清掃を維持すること。

躾-(Sustain)
ルールややり方をしっかりと身に着けること。

そしてこの5Sはビジネスの世界だけでなく、国際協力の世界にも使われます。例えばマラウイでも医療現場において5Sを推進するプロジェクトをJICAが行ったりしています。青年海外協力隊の活動でも病院に5Sを定着させるということが行われたりします。

逆に言えばマラウイの多くの医療現場では整理・整頓等5Sがなされていない現状があります。薬や注射器が乱雑に置かれていたり、医療器具の場所が固定されていなかったりします。それにより、効率が下がるばかりか投薬のミスに繋がることも考えられます。

ではなぜマラウイの病院では5Sが為されていないことが多いのでしょうか。
彼らは出来ないのでしょうか。やらないのでしょうか。

●マーケットと病院

さてここで街のマーケットの写真を見てみましょう。

どうでしょうか。とても綺麗に並べられています。まさに5Sが出来ているといえるのではないでしょうか。商品が綺麗に見えるように水をかけて見栄えを良くしたりもします。

ではこの病院とマーケットの八百屋の差は一体どこにあるのでしょうか。

答えはインセンティブにあるのではないかと僕は考えます。

つまり八百屋では5Sを行うインセンティブが働き、病院ではそれがないということです。

八百屋では商品を綺麗に見せ、お客が欲しいものがあるかどうかがすぐ分かるように並べることで、儲けが上がります。つまり5Sを行うことで自分の生活が良くなるのです。これは大きなインセンティブです。

では病院ではどうでしょうか。マラウイは政府系の病院は全て無料です。治療も薬も無料です。そこで勤務する医者や看護師は頑張ろうが頑張らまいが給料は変わらないのです。むしろ頑張って沢山の患者さんを治療した方が疲れますし、労働時間も長くなります。病院としても経営のバランスが悪くなります。つまり現状の医療システムでは5Sを行って効率をよくし、より多くの患者さんにより適切な医療処置を行うインセンティブが全く働いていないのです。

●マラウイの医療システムの問題点

お金をあまり持っていない国民に平等に医療を届ける為に病院が無料化されていますが、その結果、非効率的で正確性を欠く医療に繋がってしまうというジレンマに陥っているのです。

もちろんお金のみがインセンティブではありません。表彰をしたり、成果の見える化を行ったり、休暇の取得日数を増やしたり、海外の研修を与えたりといった、金銭以外でのインセンティブを加えることは出来ると思います。しかしそれにも限界はあります。

何れにせよ国全体の現場に5Sを根付かせる為には単に目の前の人、目の前の病院を改善するだけではなくて何らかのインセンティブを加えるような制度・システムの改革という根本な解決が必要なのではないかと思います。

かつろう

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