マラウイの伝統的習慣とHIV/AIDSの問題 .61

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世界には様々な文化・習慣があります。そして時にその伝統的な習慣は社会的な問題につながります。

例えばインドではダウリーと呼ばれる結婚持参金制度があります。これは結婚をする際に女性側が多額の金銭等を送らなければならない仕組みです。これにより女性は結婚する為にお金を貯める必要があり、家が裕福でない場合は自らで稼がなければならなくなります。そしてその為に未成年の売春を行わなければならないことがあります。
また、インドでは売春を生業とする特定の集団があり、そこで生まれた子どもたちは生まれながらに売春を強要される運命にあります。他にもお寺に娘を奉公に出すことによって悪いカルマをなくすという風習もあります。方向に出された女の子は売春を強制されます。

インドではこのような伝統的な文化的・宗教的背景を持つ風習が未成年の強制的な売春という社会問題の一因を担っています。

カンボジア等では処女とセックスをするとエイズが治るというようなことも信じられていることがあり、それが未成年売春の需要に繋がったりします。

さてではマラウイではどのような伝統的な習慣があり、それがどのように社会問題につながっているのでしょうか。今回はHIV/AIDSに関連した内容になります。

【習慣・風習】

●初潮を迎えたら地域の権力者に処女をささげる習慣

初潮を迎えたあとにTraditional Authorityとよばれる地域の権力者などに処女をささげる風習があるようです。夜の営みをどうするのかを教えるというような趣旨のようです。政府なこの習慣を禁止しているようですが一部地域ではまだ残っているとのこと。金銭の授与などは行われません。マラウイ全土でみられる習慣らしいですが、主に中部、南部で多いようです。そしてこのときにコンドームは100%つけないとのことです。

●旦那が死亡したら誰かと性交渉をしないと汚れが落ちないという風習

旦那をなくした未亡人は汚れているとみなされるようです。そしてその汚れを取る為には他の男性に抱かれる必要があるとのこと。村にはその役割を担う特定の男性がいるようです。女性はお金を払ってその男性にセックスをしてもらいます。村の人間なので時には親戚にあたることもあるとのこと。つなり彼は不特定多数の女性とセックスをすることになります。コンドームはつけないようです。そして汚れを落とした後に再婚することが可能となります。

●チョコロ(Chokolo)

未亡人は死亡した旦那の兄弟と結婚するという習慣があるようです。これは北部に見られる習慣のようです。もし兄弟が結婚していたとしても、この場合は多重婚が認められます。

【背景】

◆HIV/AIDSに対する偏見、差別が根強く残っている。

例えばエイズが原因で死亡したとしてもそれをオープンにはしないようです。マラリアで死んだということにしたりするようです。エイズにかかるということに対してとても強い偏見が根強く残っているとのこと。つまり自分がHIV positiveであるということに関しても周りに言わない場合が多いということです。妻に隠している旦那も多いとのこと。

さて、これらの風習・習慣、背景を合わせて考えられることはなんでしょうか。それはHIV/AIDSの蔓延です。

地域の権力者がコンドームを付けずに処女の女性とセックスをします。彼らは不特定多数の人と性交をしています。
未亡人は汚れを落とす為、その役割を担った村の人とセックスをします。彼らは不特定多数の人とコンドームを付けずに性交しています。
チェコロにおいて、例えば旦那がHIVで亡くなったとしてもそれを言うでしょうか。HIVで旦那をなくした妻はHIVに感染している可能性が高いのではないでしょうか。

つまり、HIVに感染しているということを公言をしないという背景があり、その上に不特定多数の人とコンドームを付けずに性交を行うという風習・習慣があるのです。これがHIVの蔓延に大きく寄与していることは想像に難くないのではないでしょうか。

この風習・習慣と社会問題というのはとてもとても深く難しいテーマです。
例えば倫理的な問題があります。彼らの習慣を私たちから見れば倫理的にとても認められないものであったとしても彼らとしては倫理的な正義をもっているのです。一方的に我々の考え方を押し付けることはもちろんできません。
しかしそれが社会問題に大きく関係している場合、それを改めるべきなのでしょうか。私個人の意見としてはその習慣は改められるべきだと考えます。それは優先されるべきは人の命であり、生活だと考えるからです。文化・風習もとても大切なものですが、プライオリティはそれらに比べると下がると思います。

この風習・習慣と社会問題というものをテーマにした学問が出来たりしないものでしょうか。既にあるのかもしれません。この二つのバランスをとったり、習慣を変えるべきかという倫理的な問題にアプローチしたり、どうすれば習慣を変られるか、過去にはどのような習慣の変化があったか等が研究されればこの根強く難しいテーマに解決の糸口が提示されるのかもしれません。

かつろう

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