『世界で一番いのちの短い国』 シエラレオネの国境なき医師団 山本敏晴著 書評その2 Vol.24

途上国で生活するにあたってkindleを購入した。今回はそのkindleで初めて読んだ本の紹介。お会いしたことはないがとても尊敬する山本敏晴さんという方の本。僕自身が青年海外協力隊という選択肢を選んだのもこの方の影響によるところが大きい。

参考;青年海外協力隊の良し悪し
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51901806.html

【読んだ本】

世界で一番いのちの短い国
?シエラレオネの国境なき医師団?
山本敏晴著

【著者】

国境なき医師団に参加し、医師としてシエラレオネのプロジェクトに関わる。その後のアフガニスタンのプロジェクト等を経て自身でNPO法人宇宙船地球号を設立し、真の国際協力を行える人材の啓発活動等を行う。

【一言サマリー】

“本当に意味のある国際協力とは何か。”

【概要】

著者が医師として国境なき医師団のシエラレオネのプロジェクトに参加した半年間を臨場感満載で面白可笑しく描く。著者は地域医療の向上という国境なき医師団の医療のミッションを遂行しながらも、自身の目的である持続可能な国際協力、つまり自らが去った後も医療の質をこの国が独自に維持できるよう現地の医療スタッフに教育をすること、を行う。
このプロジェクトを通して、本当の意味での国際協力とは何かを著者自身が悩みながらも考え、伝えていく様がとても簡潔に、正直に述べられている。

【所感】

●教育とその後のシステムの確立
教育とその後のシステムの確立が国際協力において重要なポイントの一つだと筆者は述べている。これはサステナビリティということだ。単に一時的な援助・支援を行うのではなく将来に渡って継続的に改善・発展する為には現地の人を教育し、彼らが運営していく必要があるということだ。

この視点は本当に大切だと感じる。僕自身大学で経営学を勉強した。“事業システムと競争戦略”というゼミでとても色々なことを学ばせて頂いた。事業システムにおいての一つの肝が“仕組み化”だ。言い換えれば属人的な成果でなく、仕組みとして持続的に収益を上げられる構造を築くということだ。例えばその人が抜けたとしても問題なく事業が継続できるような仕組みを構築することが大切なのだ。

また同じく大学時代、衆議院議員さんの事務所でインターンをさせて頂いたときにも仕組みの重要性を感じた。国会議員というのは仕組みをデザインする仕事なのだ。現場で業務を行うプレーヤー、そのプレーヤーを取りまとめて運営するマネジャー、そして彼らが仕事をする仕組み・枠組みを作るデザイナーがあると考えるとするとやはり最も影響力が大きく、社会を変革できる力を持っているのは仕組み・枠組みを作るデザイナーなのだ。

会社員の営業マン時代もこの仕組み化を徹底的に叩きこまれた。社としての最も大きな強みが、誰が営業をしても一定以上の成果を上げられるように作り上げられた、徹底したプロセス管理だ。つまり行動のプロセスを管理することによって、属人的でない安定的な成果を出し続けることを可能にしているわけだ。

幸運なことに大学?社会人と、この“仕組み化”をとても重視する組織にいることが長かったことにより、この持続可能なシステム化という考え方は僕自身の仕事に対する姿勢の大きな一要素になっている。青年海外協力隊含め今後国際協力の活動を行う際にもこの根底の考えを忘れずに、仕組みを組み上げられるように精進して行きたい。

●本当に意味のある国際協力とはなにか。
また筆者は本当に意味のある国際協力とは何かという問いに対して、明確に答えがあるというわけではなく、わからないとも述べている。
人間年を取ると、ややもするとわからないということを言うのが億劫になる。なんらかの答えを求められるケースも多くなる。しかし著者は誠実にわからないと言っている。僕もそういう人間であり続けたい。

恐らく国際協力という問題に対して明確な答えは世の中には存在しえないのかもしれない。とても複雑で、汚い部分も多くあり、矛盾する部分もたくさんある業界だからだ。僕自身も恐らくこれが正解と言える答えを死ぬまで持つことは出来ないと思う。正解のない人生でもがきながら悩みながら生きて行くのだろう。その道程の中での成長や出会いや発見に人生の価値を見出して行ければといいなと思う。

かつろう

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