国際協力/NGO/NPO

人身売買問題における4Pフレームワーク:大局観を持つことの大切さ .35

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●人身売買の4Pフレームワーク

ビジネスのマーケティングの世界では3C4Pといったフレームワークがある。

Company, Competitor, Customer, (自社、競合他社、顧客),
Product, Price, Place, Promotion,(製品、価格、販売チャネル、広告プロモーション)
といったものだ。
自社の製品やサービスを考える時の基本的な枠組みとして使用できる。

国際協力の人身売買問題にも4Pというフレームワークがある。

Prevention(予防):人身売買問題が起こる前の段階で防ぐための対策を打つこと。
Protection(救助・治療・回復):人身売買の被害者を救出しreintegrationすること。
Prosecution(法執行):法律の整備や有罪判決等取り締まりや裁判を強化すること。
Policy(政治・権力・アドボカシー):政治的な力や働きかけによって上記等を推進していくこと。

MECE(もれなくダブりなく)という観点からは少し使いづらいフレームではあるが、
ある程度問題解決の活動を分類でき、わかり易い枠組みである。

最近は青年海外協力隊でマラウィに派遣される関係で保健衛生、
特にHIV・エイズ問題について文献を読んだり、人に話を聞いたりして情報を収集している。
そして最近はHIV・エイズの問題も3つに分割して考えられるのではないかと思っている。
HIVに感染する前の予防、感染した後の治療、そしてHIV陽性者の権利保護だ。
もちろんこれ以外にもエイズ患者の子供の問題等もあるが
大枠としては3つで捉えられるのではないか。

●フレームワークの各要素の関連性

また上記人身売買やHIV・エイズのフレームワークの
各要素は独立しておらず互いに関係性を持っている。

例えばProtectionにあたる被害者の保護・ケアが進めば裁判での証言を促進することができ
Prosecutionの力を強め、その結果として有罪判決率が上昇すれば
そもそもの犯罪件数が減っていきPreventionに繋がる。

HIV・エイズの問題に関しても陽性者の自助グループがコンドームの販売・配布を行うことで
彼らの権利の啓発になると共に、感染の予防に繋がる。

●フレームワークのメリット=大局観

このようなフレームワークを使用することのメリットの一つが大局観を得られることだ。
大局観を持てば自分、もしくは自分が所属する団体が行っている活動は
問題解決のバリューチェーンの中で一体どこに位置するのか
ということを理解することが出来る。

それを理解することで他の団体との有機的な連携を意図的に起こせるようになるはずだ。

●大局観を持つ=ミッションに忠実になれる

また大局観を持つことでミッションに忠実になれると思う。
例えば人身売買問題を解決するというミッションを持っていたとして、
自団体がProtectionという領域の機能に特化していたとする。
しかし全体を見渡して考えたときにProtectionをいくら行ったところで
被害者の数は減らないということが分かった時は事業領域を変更すべきだ。

Prosecutionを行うことが真に問題解決に繋がると気づいたならば
そこに団体の活動を変更するべきだ。
(もちろん団体のミッションが抽象的に問題を解決するということではなくて、
“学校をつくる”というように行動それ自体になっている場合は難しいだろうと思う。)

そのように事業領域を変更するということは大局観をもって問題を捉えないと出来ないことだ。

またこのような事業領域の変更はビジネスの世界でも必須である。
現状行っている事業が時代の流れを考えたときにミッションと合致しなくなったり、
収益を上げることが出来なくなった場合は撤退戦略をとり、
コアとなる技術やリソースを展開できる違う事業領域に参入するべきなのだ。

それをせずにいつまでも昔の栄光にすがって同じ事業しか出来ないようであれば
行きつく先は言わずとも見えている。

●締めくくり:進化・変化する組織こそ

NPOであれ、企業であれ、常に自らのミッションに忠実にある必要がある。
ダーウィンは進化するものこそが生き残ると言ったそうだが、
本当に価値を世の中に創出できる組織というのは常に自らの活動に疑問を投げかけ、
そして変化・進化をし続けられる組織を言うのではないか。

かつろう

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インタビューその1 ケア・インターナショナルジャパン様~ベトナム・ハノイのHIV陽性者エンパワーメントプロジェクト~ .32

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先日公益財団法人ケア・インターナショナルジャパンの事業部長の菊池康子様に訪問させて頂いた。青年海外協力隊で保健衛生製品のマーケティング・営業担当としてマラウィに派遣される前に保健衛生分野やエイズ分野の知識を勉強したいと思い色々とお話をお聞かせいただいた。

お忙しい中貴重なお時間を頂きまして本当にありがとうございました。

●ベトナム・ハノイの陽性者のエンパワーメントプロジェクト

ケア・インターナショナル・ジャパン様が2010年~11年にJICAの草の根技術協力事業として実施されたベトナムにおいてのエイズ陽性者のエンパワーメント事業についてお話を聞かせて頂いた。この事業はベトナムのハノイにおいてHIV陽性者の自助グループのキャパシティービルディング(能力向上)を行い、医療関係者や教育関係者に対してのアドボカシー活動を行うというものだ。
医療関係者でさえも正しくHIV・エイズを理解していない場合が多く、陽性者に対しての差別や人権侵害が起こっているからだ。

医療・教育関係者に研修を行ったり、ダイアログ(対話)形式で陽性者と話して貰ったりしたとのこと。活動の一環として4つの病院でフレンドリーコーナーというHIV陽性者が相談員となり、病院に来訪する患者の相談に乗るということも行ったそうだ。
このフレンドリーコーナーはケア様の活動が終わった後も保健局の下部組織として存続しているとのこと。プロジェクトで一時的に支援を行うだけでなく、その後も継続して活動が行われているというのはとても大切だ。
このように、継続的に活動が行われるようにプロジェクトを設計するということはケア様の中でとても重視されていると仰られていた。とても素晴らしいことだと感じた。

他にもOVC(Orphans and Vulnerable Children。エイズ患者から生まれた子供たち。母子感染をしている、していないに関わらずエイズ患者の子どもということでいわれなき差別を受けることが多い)の心理ケアを行っている青年海外協力隊員と連携を取った活動などもされたとのこと。

●自助グループについて

ハノイにはHIV・エイズの自助グループが30団体くらいあり、その中の4つと提携した。グループは100人を超える大きなものから7~8人のものまで様々な規模と提携。

構成としては、自助グループは女性がとても多い。男性は働いていてそういった活動を出来ないからかもしれないが。またその女性の中にはかつて性産業に従事していた人もいる。

また、自助グループに入っているがその事実をオープンにしていない人も多い。わざわざ家から少し離れた場所にある自助グループに参加するなどしている人もいる。その関係で例えば写真の使用が不可だったりすることもある。

●その他

国境地域はHIVの感染率が高い。お父さんが出稼ぎ先で遊んで感染して、お母さんにうつすと  いう ことが多い。
・国境地帯でなくとも出稼ぎが多い地域は感染率が高い可能性がある。
・ケア様のアプローチ手法の一つが当事者(自助グループ)が自主的に自分たちをエンパワ  
 ーすることで社会的な問題を発信・解決していくという方法。

●考察

今回のインタビューより、アフリカで保健衛生製品(特にエイズ予防のコンドームの場合)の販売を行う時に下記考察の必要があると感じた。

・販売者
だれが販売をするのか。この候補として現在ではHIV陽性者の自助グループはどうかと考えている。販売のコミッションを出すことも検討する。そうすることで彼らのエンパワーメント、問題の啓発にもつながる。また彼らはHIV・エイズの悲惨さ、大変さを身をもって知っている最も優秀な販売員となれる可能性がある。

・地域選別、感染経路の特定
感染率の高い地域を特定する。国境地域が高いのか、農村が高いのか。また複数の街で買春を行う可能性があるトラック運転手が感染媒体となりえている可能性が高いかどうか。またそれが高い理由も特定する。その上でそこに対して集中的な販売・啓発を行う。

・予防・治療・エンパワーメントのバリューチェーンの整理
予防・治療・エンパワーメントは切り離して考えることが難しい。それぞれが関連している。その関係性やキーとなる要素等をしっかりと整理し、バリューチェーンを描くことが必要。

今回突然のお願いにも関わらずお時間を頂きまして本当にありがとうございました。改めてケア・インターナショナル・ジャパン様にお礼を申し上げます。

かつろう

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社会人インターンのススメ~かものはしプロジェクトでの経験から~ Vol.26

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本日約9か月お世話になったNPOを卒業する。この9か月間は無給で社会人インターンとしてお世話になった。

学生時代のインターンシップは日本でもかなり浸透してきている。就職活動の一環としての位置づけのものもあるが、本人の成長と社会変革の為という意義を持つインターンシップも多い。

ベンチャー、起業、NPOセクター、社会企業家等の分野のNPO法人ETIC(http://www.etic.or.jp/)、
政治家の元へ送り出しているNPO法人ドットジェイピー(http://www.dot-jp.or.jp/)等が有名だ。学生が無給やほぼ無給に近い状態でがっつりと仕事を手伝わせてもらえる。成長の機会としてはとても良い。

僕は会社を退職後、社会人インターンとしてNPO法人をお手伝いさせて頂いた。日本において社会人インターンという言葉や仕組みはほとんどないという風に言っても差支えないと思う。(僕の場合も直接代表アドレスにメールを送ってお願いをした)。

この社会人がインターンするという選択肢は今後もっと増えるべきだと考える。

●受け入れ側のメリット

・即戦力
学生インターンの場合は色んなことを教育しなければならないし、業務もモニタリングする必要がある。受け入れ側にも多大なるコストがかかる。しかし社会人経験者はその教育コスト、業務モニタリングコストが低くて済む。即戦力として活用することが出来る。

・コネクションの形成
社会人インターンは卒業後の営利セクター、非営利セクター、先進国、途上国各種の進路を取ることになる。学生インターンにも言えることだが、こういったインターンとの関係性がとても大きな資産になる。情報を得ることも出来るし、またボランティアやプロボノとして手伝ってもらう時に内部の事情も分かっているのでとても円滑に業務を協働することが出来るはずだ。

●社会人側のメリット

・幅広い経験が積める
基本的にインターンをする場合は元々いた仕事と遠い距離にある仕事の場合が多い。近い業界や業態であれば普通に転職をすればよいからだ。経験に左右されずに全く知らない業界や仕事の経験を積める。多様で幅広い経験を得ることが出来る。

また具体的な業務に関しても正式な雇用契約があるわけではないので柔軟に多様な業務を行うことが出来る場合が多い。例えば国際NGOの場合は日本と途上国、双方での勤務が短期間で可能になることもある。僕の場合も9か月の間に日本、インド、カンボジアでお仕事をさせて頂いた。

・成長に繋がる(上記と少し被ることは御免下さい。)
無給で仕事をするということはとても貴重な経験で成長に繋がるはずだ。もちろん人にはよる。しかし自発的に動ける人にとってはこれ以上の機会はない

何故なら人は対価を求めるからだ。金銭的対価がない場合、それ以外のもので自分が時間を使う対価をとても意識して求める姿勢が築かれる。例えば自己の成長であり、資格であり、経歴であり、人の繋がりであると思う。貪欲に金銭以外の報酬を求めることが自ずと成長、人生の発展に繋がるはずだ。

・就職に繋がる可能性もある
まず非営利セクターは間口が狭いと言える。そこで働いている職員の総数も狭いし、募集も頻繁にあるわけではない。このような政治やNPO等では知り合い伝いでの職員の採用も多い。これは募集コストが下げられると共に、その人の能力や姿勢が担保されるという意味ではとても合理的な手法と言える。そのような場合インターンで業界とのつながりを持っておけば就職に繋がる可能性もある。

●非営利セクター(NPO法人等)全体にとってのメリット

・優秀な人材の非営利セクターへの流入
社会人インターンという仕組みが広まることは非営利セクターにとってもとても大きなメリットになるはずだ。なぜなら優秀な人材が非営利セクターに流入するからだ。

非営利セクターは資格・経験を重視して採用することが多い。例えば修士の資格や途上国での経験、類似する業務経験などだ。こういった採用を行う合理性は高い。はずれがすくないからだ。しかし逆に言えばもしこのような採用しか行わない場合は同じような業界で同じような経験を積んだ人しか採用できない。それでは安定して業務をまわせたとしても革新的な手法や改善を行うことは出来ない。そのためには多様な経験を積んだ人材が必要になる。

この社会人インターンという仕組みが広まれば違う分野で多様な経験を積んだ人材が非営利セクターに参入することが可能となる。

非営利セクターとしては問題の解決が進めばたとえ自団体が解決をしなくても良いはずだ。市場のパイを取り合う営利企業とは違うはずだ(もちろんその限りではないが)。そのような人材の入り口として社会人インターンの仕組みを取り入れれば業界全体の底上げ、各種問題解決の促進に繋がるはずだ。

●営利セクター(株式会社)全体にとってのメリット

・ビジネスと社会貢献、双方の文脈をわかる人材の獲得
企業活動はどんどん多様で複雑になる。例えば途上国でのBOPビジネス、環境に配慮した製品等単に利益を上げるだけでは立ち行かないようになってきている。そういった時代で単に利益出せを上げられる人材だけでは企業活動としては満足でない。

営利セクターと非営利セクターの双方の文脈を理解できるような人材が必要になる。先進国と途上国のどちらでの経験もある人材が必要になる。そういった人材を底上げするためにも企業は非営利セクターとの人材の流動化をもっと奨励、促進すべきだ。例えばNPO法人クロスフィールズ(http://crossfields.jp/)が行っているような留職プログラム(企業が途上国のNGOなどに数か月自社人材を研修として派遣する制度)の利用や社会人インターンのキャリアとしての価値の認識を行うべきだ。

社会人インターンが広まれば企業としてもビジネスと社会貢献の双方の文脈を分かる人間を採用することが容易になるはずだ。

●NPO法人かものはしプロジェクト

ちなみに僕が社会人インターンシップをさせて頂いたのはNPO法人かものはしプロジェクト(http://www.kamonohashi-project.net/)だ。手前味噌で恐縮なのですが、とても良い経験を積ませて頂いた。カンボジアでは孤児院支援や警察支援、インドではNGOコーディネートや資金提供、日本国内ではファンドレイジングというようにNPOとしてとてもしっかりとした活動を行っている

そういった非営利的な側面だけでなく、過去のHTMLのコーディング事業や現在のカンボジアでの工房経営事業等、ビジネスの側面を有している。行っている事業だけでなくて、ファンドレイジングでペルソナマーケティングの手法を活用したりと、ビジネス的な手法・考え方の応用をとても自然に行っている。

設立して10年というとても若いベンチャー気質のNPOだからこそ自発的に仕事を行うことが必須となる。その自発性がリーダーシップの開発や成長に繋がった。

 進路の選択肢の一つとして社会人インターンシップというものを意識して欲しいと切に願います。社会人インターンというものが当たり前の選択肢として考えられるようになれば世界の様々な問題の解決がとても加速すると信じています。

NPOの限界~株式会社か、NPO法人か~ Vol.25

以前ある社会企業家と呼ばれる方の講演会を聞きに行った。
途上国である製品を生産して日本で販売をしている事業を営んでおられる方だ。

講演の最後に質疑応答があったので僕は質問をした。

Q、『株式会社として事業を始めてらっしゃいますが、始める際にNPOにするか、
株式会社にするかで悩まれることはなかったですか?』

A、『悩みませんでした。市場に認められる高品質の製品を作ろうと思ったので
株式会社しか考えませんでした

この答えを聞いたときにNPOの一つの限界を感じた。

さて、事業を始める時にNPO法人にするか、株式会社にするかという選択は
どういう軸で考えるべきなのだろうか。

【資金調達・収益構造の軸】

例えば資金調達という観点だと株式会社は株式を発行して
資金を集めることが出来ることが大きなメリットと言える。
しかし収益は事業収入が中心となる。

対してNPOは株式を発行出来ないが事業収入の他にも、
寄付・会費、助成金・委託金といったといった多様な収益構造を持つことが出来る。

【お金持ちの軸】

また株式会社は例えばIPOによってお金持ちになることが出来るかもしれないが、
NPOはそもそも株式がないので上場してお金持ちになることは出来ない。

【ミッションの軸】

株式会社は株主に対しての責任を果たすこと、行ってみれば利益を上げることを求められる。
それと合わせてミッションを果たすことも必要だ。
利益とミッション、双方を達成することが株式会社の責任だと僕は考える。

対してNPOはミッションを果たすことが最優先だ。
その為の手段として収益をあげたり、ブランディングとしての事業を行ったりすることがあるが
あくまでもそれは手段としての利益・事業であって、ミッションとしてのそれではない。

【統治の軸】

株式会社は株式を多くもつことで組織に対しての権限を持つことが出来る。
NPOでその株式に相当するのは正会員にあたる。
つまり組織に対する議決権は正会員が持つのだ。株式会社との大きな違いは、
株式会社は個人での株式の保有株数に制限がないが、NPOはいくらお金を出したとしても
一人一株(1正会員の権利)しか持てないのだ。つまり正会員一人一人が同様の権限を持つのだ。

さらに原則的にNPOは正会員の入会を拒むことが難しいので、
株式会社とはタイプは違うが言ってみれば、乗っ取りのリスクも内包している。

上記のような様々な軸を検討した上で自らがやりたいことと
照らし合わせて法人格を選択すべきだ。

『市場に認められる高品質の製品を作ろうと思ったので株式会社しか考えませんでした』
というコメントは下記の前提を含んでいる。

・株式会社は高いレベルで事業をオペレーションすることができ、アウトプットも素晴らしい。
・NPOは事業オペレーションが苦手でアウトプットも低い。

この認識は間違っていると言える。NPOでもとても質の高いサービスを提供している組織もある。
例えば病児保育事業を行っている認定NPO法人フローレンス(http://www.florence.or.jp/)は
事業型のNPOとして名高い。
事業収益によって組織を運営しており、その提供サービスも顧客に認められている。

このような誤ったNPOに対する認識がNPOの限界を作っているように思う。

例えば株式会社に比べてNPOの方が社会的な信頼が低い。
株式会社の社員もNPOの職員も分野が違うだけでどちらもプロフェッショナルのはずだ。
しかしNPOと聞くとどこかボランティアの匂いがする。
給料に関してもそうだ。NPOは清貧たれという感覚を持っている人がいる。
寄付者よりもNPO職員の年収が高いことがあり、それを寄付者から指摘されたという話も聞く。

こういったNPOに対する誤解が未だ日本には蔓延している

繰り返すが株式会社とNPOは組織形態、
ミッション等が違うだけでどちらもプロフェッショナルの集団であるのだ。
むしろ収益性と社会性を両立させなければならない場合などはNPOや
社会企業の方がより能力や専門性を求められることもあるのだ。

この先どんどん“イケてる”NPOが日本で増えて行って、
NPOに対する社会の認識が変わっていけばNPOの限界もなくなると思う。

かつろう

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プロジェクトマネジメント~リスクと課題~ Vol.20

先日アクセンチュア様がCSR活動の一環としてNPO向けに行ってらっしゃる
プロジェクトマネジメントについてのワークショップに参加させて頂いた。
今回は主にプロジェクト管理のリスクと課題についてのものだった。

もちろん日々の全ての業務においてリスクを洗い出すということは時間的に不可能だが、
重要な業務・プロジェクトには必ず行うべきだと感じた。
それを行うことで何かあった時にすぐにリカバリーが出来、
納期通りにプロジェクトを運営できるようになる。

学生団体や大手NGO等様々な方が参加されていて、とても勉強になった。
以下そのワークショップの内容。

●リスクと課題の違い

リスクとはまだ顕在化していない(起こっていない)プロジェクトの目的達成や
順調な作業の妨げになる可能性があるもの。

課題とはすでに顕在化していて(起こっている)プロジェクトの
目的達成や作業の遂行の為に解決すべき事象。

●リスク管理のポイント

・網羅的なリスクの洗い出し
リスクは出来るだけ広く、網羅的に洗い出すことが望ましい。
その手法としてブレインストーミングが適切。実際アクセンチュア様でも
リスクの洗い出しにはブレストを使うことが多いとのこと。
出たものをフレームや軸に落とし込んで再度、抜けがないかチェックをする。

・優先順位づけ
リスクの優先順位をつける。
影響度と発生確率をそれぞれ3段階でスコアを付け掛け合わせる。
影響度×発生確率。それが9点のものから優先的に対応策を考えていく。

・対策の検討
【回避】リスクが顕在化、発生しないための対策。
例えば遅刻をしない為に集合時間の1時間前に到着するようにしておく等。
【軽減】リスクが顕在化した場合の影響を小さくする対応策。例えば担当者が遅刻した場合にはその業務を行う人を事前に決めておく等。

・その他
参考になるフレームワークとしてはQCD管理が使える。Quality(品質、パフォーマンスに関するリスク), Cost(コストオーバーのリスク), Dead line(期限内に終わらないリスク) 。

●課題管理のポイント

・内容の把握
何が問題なのかを把握し、その影響範囲を特定する。

・完了条件
その課題はなにを持って解決されえたとするのか。

・対応方針
その課題を解決する方針を決める。複数設定できる。

・対応期限
いつまでに対応しなければならないのか。
そのためには解決のための各タスクのスケジュールを決めないといけない。

・担当者

・ステータス(未着手、対応中、対応完了等)

●その他

・クリティカルパスの洗い出し
各タスクの依存度関係を整理する。例えば各タスクを○で表現し、それを矢印でつなぐ。
つまり前のタスクが完了しないと次にはいけないという関係がわかるようにする。
またその矢印に完了までに要する期間も書く。
もちろん矢印は複数のび、一つのタスクも複数のタスクの後になる場合もある。

クリティカルパスとはその中で最も合計が長くなるタスクのことだ。
つまりクリティカルパスが遅延すれば、そのプロジェクト全体が遅延するということになる。

つまり期限内にプロジェクトを終わらせる為には、クリティカルパスを洗い出して、
常に進捗に気を使うことが必要なのだ。

・クラッシング
人員を追加することでスケジュールを短縮させる方法。
コストがかかりまた追加人員の生産性は担保されない。

・ファスト・トラッキング
順番が先のタスクも並行して進めていくことでスケジュールを短縮させる方法。
前のタスク如何によって手戻りのリスクがある。

●プロジェクト管理を行う上で最も大切なこと

【コミュニケーション能力】

プロジェクトには社内外で様々な人が関わってくる。
その人たちと折衝、調整等を常に行う必要がある。
フレームワークや進捗管理の手法などももちろん大切だが、最も必要とされるのは
そういった多様な人をまとめ、動かす為のコミュニケーション能力である。

かつろう

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エヴァンゲリオンと貧困層のエンパワーメント Vol.18

※以下エヴァンゲリオンのネタバレを含むので注意。

先日エヴァンゲリオンのテレビシリーズを全て見切った。今更感満載ですが。
これが放送されていたのが1995年~96年らしい。
20年がたとうとしている今でもとても面白く引き込まれる。
手塚治の漫画のように時代を経て残っていく作品なのだろうと思う。

その最後のシーンで主人公碇シンジが『僕はここにいてもいいんだ』ということに気付く。
もともと彼は自分には価値がない、自分には居場所がないと思って生きていた。
誰にも必要とされていないと感じて生きていた。
しかしある日エヴァンゲリオンのパイロットに選ばれ、必要とされる。
自らの存在価値をエヴァンゲリオンに乗ることと規定する。
つまりエヴァンゲリオンに乗るからこそに自分は必要とされていると思うのだ。
裏を返せばエヴァンゲリオンに乗れなくなってしまえば彼自身は生きる価値を失う。
エヴァンゲリオンに乗って使徒を迎撃するからこそ皆は自分に居場所を与えてくれると感じる。

しかし最後彼は気づくのだ。たとえエヴァンゲリオンに乗らなかったとしても
自分はここにいても良いのだと。無条件の自己肯定だ。
お金を持っているから、良い大学に通っているから、いい仕事をしているから、
家族がいるから、外見が良いから、そういった諸要件を全て抜いたとして
自分が自分を認められるかという無条件の自己肯定を彼は得るのだ。

実はこの感覚は貧困層にとってもとても得難い場合があり、得るべき感覚なのだ。
貧困層は色んな劣等感を持っている場合がある。
例えば教育を受けていない、読み書きが出来ない、親がいない、
お金がなくて満足に食べられない、着飾れない、
そういった経験から自分に対する肯定感が低い場合があるのだ。
そういった彼ら、彼女らにとって必要なのは究極的には無条件の自己肯定感なのだ。
自らの生に対して自信を持ってもらうことなのだ。

教育は大切だ。読み書き計算ができるようになり、様々な知識をつけていくことはとても大切だ。
しかしそれ自体が目的なのではない。それが出来るようになることにより、
本を読み、仕事が出来、お金が稼げ、生活が安定する。
そして最終的には自分の存在を無条件で肯定できるようになるということが
最終的な目的の一つなのではなかろうか。
自分自身への尊厳を持って生きるということが教育の一つのゴールなのではないか。

●●●●●
●●●

この自己肯定には二つの段階がある。

一つは途上国の貧困層が感じるように、
基礎的な教育やライフスキルトレーニングなどの欠如による段階だ。
もう一つは碇シンジのように先進国において、ある程度生活の条件は整っているのに、
自己否定感を感じてしまう段階だ。

前者の場合は教育やライフスキルトレーニングを通してそれを補うことが出来るとする。
では後者が自己肯定感を感じる為にはどうすれば良いのだろうか。

その為には他者からの無条件の承認が必要なのではないか。
例えば親からの無条件の承認、恋愛を通しての無条件の承認、友人からの無条件の承認、
そういった無条件の承認を得られることで自分自身を無条件に肯定できるようになるのだと思う。
碇シンジの場合もそういった承認がないような環境で育ってきていたが、
やがてエヴァンゲリオンに乗る中での人と関わり、承認を得るようになる。

では肉親以外の他者から無条件の承認を得る為にはどうしたら良いのか。
(前提として親等の肉親からは無条件の承認を得られることとする。
逆にそれが得られない場合はそれを変えるのは難しいと考える。)

その為にはまずは自分自身が他者を無条件に承認することだと思う。
人は自分を映す鏡だ。
自分から人に対する関わり方が、人からの自分に対する関わり方になると思う。
自分が人を無条件に承認することによって、人から無条件に承認されることになる。
そして人から無条件に承認されれば、自分自身を無条件に承認出来るようになるのだ。

途上国で人をエンパワーメントする際には具体的な手法や、
心理的励ましといったことが必要になる。
しかし、その前提として無条件にその人を認めてあげることがまずは大事なのだと思う。
この原則を忘れずに、世界中の人と接して行きたい。

かつろう

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NPOの存在意義 .15

会社とNPOには様々な違いがある。

例えば株式会社は株式発行による資金調達を行えるが、NPOは行えない。
逆にNPOは事業収入のみならず、寄付・会費収入、助成金・委託金収入といった
様々なファンド源を利用することが出来る。

そういった資金面や、税制面、組織面など様々違いがあるが
最も大きな違いは組織の存在意義にあると思う。

会社は基本的には、組織として永続させることが一つの命題であると言える。
利益を出し続け、社会から必要とされ続けなければ永続することは出来ないからだ。

しかしNPOは全く逆なのだ。一刻も早く解散することを目指すのだ。
そのNPOのミッションとしている問題がなくなり、
NPOの存在意義がなくなることが最も目指すべき状態なのだ。

存在意義がなくなることが
存在意義という一見矛盾しているかのような状態にあるのがNPOなのだ。と思う。

“組織を存続させる為だけにやるくらいなら、一刻も早くやめた方がいい”
尊敬する人の言葉だ。カッコいい。

個人の人生においてもただ生き永らえることを目的とするのではなく、
存在意義を定義し、その意義を全うできたと感じられたら潔く消滅出来るような、
そんな爽やかな心持ちでいたい。

かつろう

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NPOは『借り物競争』 .10

お世話になっている方に『NPOは借り物競争』という言葉を教えて頂いた。
資金を借りるということは企業でもNPOでもあると思う。
しかしNPOは他にも様々なものを借りるのだ。

●ヒトを借りる

ボランティア、インターン、プロボノといったリソースの活用があげられる。
ちなみにプロボノというのは社会人が自らの専門性等を使用して社会貢献活動を行うことを指す。
企業であれば雇用関係にあるものによって活動することが前提だが、NPOは場合によってはそういった無償のリソースが大きな支えとなることも多い。

●モノを借りる

例えば会議スペース等を無料で貸して頂いたり、必要な資材やものを課して頂いたり、寄付頂いたりすることもある。また場合によっては事業を行う土地までをも無償で提供頂いたりすることもある。

●カネを借りる

近年注目されているのがベンチャーフィランソロピーという考え方だ。
社会的企業・組織に対して、資金や経営の支援を行う考え方だ。今までの投資と違うところは、
投資の見返りとして金銭的な利得を求めるのではなくて、社会の便益を求めるところだ。
まさに社会を良くする為の投資手法なのだ。
このような手法で資金等を集めることは社会的な企業・組織ならではと言える。

●情報を借りる

人を借りるということに通じる部分もあるが、NPOは様々なことについてアドバイスをもらったり
専門的な知見をもらったりすることも多い。
例えばアドバイザリーボード等を編成し、様々な分野の専門家から経営の相談をしたりする。
そこから知識・情報を拝借するのだ。

●手法を借りる

企業であれば事業のノウハウや構造・システム等、基本的には秘匿をすることが多い。
それは自社の利益を守るためだ。しかしNPOは事業のノウハウを公開することが多い。
むしろ積極的にスケールアウトを行って、問題解決を加速させる場合が多い。
それはまさに手法そのものを借りるということだ。

NPOは企業体が事業を行うのに必要不可欠であるとされるヒト・モノ・カネ・情報といった
リソースだけでなく、事業そのもののシステムまでをも借りることが出来る。

では何故企業は借りることが出来なくて、NPOは借りることが出来るのか。
それは組織としての存在意義の違いにあるからではないか。
企業の存在意義の大きな一つに自社の利益の最大化(株主への責任)という考え方があると思う。対してNPOが存在する意義は社会問題の解決にある。極論を言えば、そのミッションとする社会問題が解決して、組織としての存在意義がなくなって解散することが最も理想とする状態なのである。社会問題が解決出来れば、どの組織が行おうと全く問題ないのである。そのような違いがオープンに様々なことを借りることが出来るかどうかの違いに繋がっていると思う。

個人においても同じことが言えると思う。例えばあるアイディアを持っていたとしてそれによって自らのみが利益を得ようと考えていたとすると人には協力を求めずに内々にことを進めるだろう。しかしそれによって起こる社会的な便益を求めるのであれば色んな人にアイディアを共有してフィードバックをもらっていくだろう。後者の方がそのアイディアの成功確率も高くなるはずだ。恥ずかしながら私はどちらかというと前者よりの人間だった。それを指摘して頂いて、今は後者の考え方を取れるようになった。

つまるところ何を行うにせよ、社会的な利益と個人・組織としての利益を最大化出来るような形を取れればとても良いと思う。

かつろう

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寄付による事業は持続可能性を持たないのか~ビジネスこそが持続可能性を持つという誤り~ Vol.9

昨年の7月に、会社を退職しNPO法人で丁稚奉公させて頂いている。

 NPO法人に参加させて頂くまで、寄付・ドネーションや助成金に依った事業は持続可能性がなく、ビジネスは持続可能性があるというように思っていた。

つまりいわゆる社会起業と呼ばれるようなビジネスの収益モデルを持った社会事業は持続可能性があり、寄付や助成金に頼った社会事業は持続可能性がないと思っていたのだ。だから持続可能性の観点より、出来る限りビジネスの収益性を持った社会事業を行うべきであるというように考えていた。

しかしNPO法人に携わらせて頂くことでそれら①ビジネスは持続可能で、寄付はそうでない。②社会問題は出来る限り、ビジネスの収益モデルを持った方法で解決すべき。が大いに間違いであると気づいた。以下項目に分けて説明をする。

1、 『ビジネスが持続可能性を持っている』という誤り。

 ビジネス、つまり収益事業は黒字である限りは持続可能性を持っている。利益を出し続ける限りは、継続して事業を行うことが出来る。(もちろん赤字経営での継続や、逆に、収益を出しつつも、キャッシュフローとして立ち行かなくなる等あるが、ここで話したい本質とはずれるので割愛)。
しかし逆に必ず収益を上げ続けるというのは不可能に近いわけで、様々な要因によって赤字に陥る可能性もある。そのように継続して赤字になった場合はそのモデルが立ち行かなくなり、持続可能性がなくなるのだ。

2、『寄付や助成金による事業は持続可能性を持っていない』という誤り。

 助成金や委託金による事業は確かに持続可能性をあまり有しているとは言えない。数年単位でしか資金が保障されていなく、その後継続されるかどうかわからないからだ。

しかし寄付による事業は仕組みをしっかりと戦略的に構築すれば持続可能性を有するようになるのだ。単発の寄付に依ってしまえばそれは持続可能性がない。しかし会費制にして、なおかつそれが振り込みでなく、引き落としという形態を取れれば持続可能性がかなり高くなる。もちろん会員になって頂く入口、そして会員になってもらってからのケアや対応、そして退会時の接し方といった一連のマネジメントや接点を大切にしていくことが大前提ではある。

 例えばあるNPOは会員数も数千人おり、毎年数千万円の寄付を集めている。また会員の継続率も90%を超える。つまりとても安定した収益構造を構築しているのだ。

3、『社会問題は収益モデルを持った方法で解決すべき』という誤り。

 社会問題は二つに分類することが出来る。ビジネスの収益構造を持ったモデルによって解決出来る社会問題と、非収益構造のモデルによってしか解決出来ない社会問題だ。(もちろんその二つが重なる部分はある。)

例えばある村の住民の貧困という社会問題を解決しようとするとする。その際に彼らの生計向上の為に一村一品運動等で彼らの収益を確保し、貧困を削減するというのはビジネスの収益構造を使った社会問題の解決である。

また例えばある国家の警察を訓練するという事業があったとする。その国家は予算が少なく、各国からの援助で成り立っている国家である。必要最低限の社会事業を行うだけで予算が尽きてしまい、正しく逮捕するための法知識や検挙方法といった警察の訓練を十分に行えないとする。その社会問題を解決しようとするとは収益構造を持たせるのは大変難しくなる。警察に訓練を行うことから収益を上げるのは至難の業だと言える。
本来そういった収益を上げられないが、必要な事業というのは国が行うべきものである。社会インフラを整えたりするのは国が税金から行うべき事業なのである。しかし紛争等様々な理由により、十分に国家予算が確保できない国がたくさんある。そういった国の事業を国際機関や他国、NGOといった他者が解決する場合はどうしたって収益を上げることが出来なくなる。

つまり社会問題の性質によって収益構造を持つことが出来る場合もあればそうでない場合も存在するということである。

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会社を辞めてNPO法人で御世話になるまで『ビジネスこそが持続可能性を持つ』という考え方を私は強く信じていた。恐らく会社を辞めずにいたらこの誤解はずっと続いたままだったと思う。

坂本竜馬の一つの強みは現場主義だったと言います。黒船が来たら見に行ったりと、問題事態を実体験するという哲学を持っていたようです。わからないことがあれば体験してみるという考えを持っていたようです。

百聞は一見に如かずとはまさにその通りで、体験を通してこそ本質的な知見が得られるのだろうと思います。

ややもすると頭デッカチになる傾向があるので、『現場主義』を肝に銘じておきたいです。

かつろう

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